DASH食とは?高血圧予防に役立つ食事法の効果とやり方を知ろう
近年DASH食(ダッシュしょく)が注目されているのをご存じですか?DASH食とは、高血圧の予防や改善を目的とし、ナトリウムの排出に着目した食事法です。
今回はDASH食の効果とやり方について解説します。
DASH食とは
DASH食は「Dietary Approach to Stop Hypertension(高血圧を防ぐ食事方法)」の略で、アメリカ国立心臓肺血液研究所が提唱した食事法です。
「ナトリウムを排出すること」に着目しており、アメリカでは高血圧の治療や予防を目的に、根拠のある食事法として実践されています。
具体的には、野菜、果物、低脂肪乳製品、魚をたくさんとり、脂質や飽和脂肪酸、コレステロールを減らす方法で、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維の摂取量が多いことを特徴としています。
DASH食で血圧が下がる理由と効果
DASH食で血圧が下がる理由は、利尿作用によるものと考えられています。
カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維はそれぞれ降圧に役立つ効果があり、それが組み合わさることによって、さらなる効果を発揮すると推測されています。
アメリカの研究では、一般的な食事をした人に比べ、DASH食を実践した高血圧のある人は、収縮期血圧が11.4mmHg、拡張期血圧が5.5mmhg低下したという報告もあるほどです(※1)。
またDASH食の効果は食塩摂取量が多いほど高くなることも知られています。食塩の過剰傾向がある日本人も、実践したい食事法であるといえるでしょう。
DASH食で増やす食品・減らす食品
DASH食では、増やす食品と減らす食品が示されています。
DASH食はアメリカの食習慣に沿って作られたもので、日本人が習慣化しにくい食べ物もありますが、なじみのある食品に置き換えて実践してみるとよいでしょう。
増やす食品
まずは増やす食品を一覧で紹介します。
増やす栄養素 | 具体的な食品例 |
カリウム | ブロッコリー、ほうれん草、枝豆、かぼちゃ、たけのこ、ニラ、小松菜、水菜、れんこん、里芋、さつま芋、じゃがいも、長芋、納豆、大豆水煮、ひよこ豆、レンズ豆、バナナ、メロン、キウイフルーツ |
カルシウム | 低脂肪乳製品(牛乳、スキムミルク、ヨーグルト)、豆腐、納豆、厚揚げ、小松菜、水菜、しらす干し、桜エビ |
マグネシウム | オートミール、蕎麦、玄米、全粒粉パン、豆腐、納豆、油揚げ、がんもどき、ひじき、ほうれん草、バナナ、あさり、タコ、アーモンド、カシューナッツ、くるみ |
食物繊維 | 押麦、玄米、オートミール、小麦ふすま、大豆水煮、おから、ひよこ豆、レンズ豆、ひじき、わかめ、しいたけ、えのきたけ、ブロッコリー、おくら、枝豆 |
主食は精製度の低いもの(玄米、全粒粉、蕎麦、オートミール、小麦ふすまなど)を選ぶとよいでしょう。
また色の濃い野菜や海藻類、きのこ類にも食物繊維やミネラルが豊富であるため、積極的に取り入れます。
さらに、果物もできるだけ毎日取り入れ、間食にナッツ類をとり入れるようにすると、ミネラルをしっかり補給できるでしょう。
減らす食品
続けて、減らす食品の一覧を紹介します。
減らす栄養素 | 具体的な食品例 |
飽和脂肪酸(脂質) | 牛肉(バラ、リブロースなど)、豚肉(バラ、ロースなど)、鶏皮、ベーコン、ウインナー、チョコレート、ナチュラルチーズ、生クリーム、洋菓子 |
コレステロール | 卵黄、するめ、あん肝、すじこ、いくら、たらこ、ホタルイカ、レバー、しらこ |
飽和脂肪酸は肉類や乳製品、洋菓子に多く含まれます。
またコレステロールは、動物の内臓や魚介類に多く含まれます。
できるだけこれらを減らし、青魚(さば、いわし、あじ、さんま)や大豆製品(豆腐、納豆)を増やすようにするとよいでしょう。
高血圧の治療や予防には、DASH食の実践とあわせて、減塩、適正体重の維持、節酒、運動、禁煙も大切です。できるところから取り組みをはじめましょう。
※食事療法について、医師から指示がある場合はそれに従ってください。治療中の方がDASH食を実践する場合は、必ず医師に相談しましょう。
【参考・参照】
(※1)Appel LJ, et al ,“A clinical trial of the effects of dietary patterns on blood pressure.
DASH Collaborative Reseach Group“,N Engl J Med, 336 : 1117-1124, 1997
日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019
公益財団法人産業医学振興財団 エビデンスに基づく食事療法・生活習慣改善指導を中心とした労働者のための高血圧管理マネジメントシステムの開発研究<https://www.zsisz.or.jp/images/pdf/kenkyuu/k23-03.pdf>(最終閲覧日:2022/1/28)
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
管理栄養士
広田 千尋
- ダイエットの知識
- 持病の対策(あすけんBLUEサークル)
- 持病の対策コラム
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