乳酸菌ってどんな菌?からだに嬉しい効果ととり入れ方のコツ
毎月23日と2月3日は「乳酸菌の日」です。乳酸菌は、わたしたちの生活に広くかかわっています。ヨーグルト、チーズ、漬けもの、みそや醤油などの発酵食品は乳酸菌の働きによるものであるほか、人間の腸内にも乳酸菌は存在しています。 「腸活」のように腸内環境の改善が健康に良い効果があると話題になって久しいですが、今回は、改めてからだに嬉しい乳酸菌の効果や、とり入れ方のコツについて、あすけん栄養士が解説します。
乳酸菌の働き
乳酸菌とは、糖を分解して乳酸を作り出す菌の総称です。現在わかっているだけでも200種類以上あり、種類によって働きも異なります。ヨーグルトに含まれるビフィズス菌も乳酸菌の仲間です。乳酸菌は、発酵食品をつくる際に活躍する他、人間の体内、特に腸の中では腸内細菌として腸内環境を整える、大切な役割をしています。
乳酸菌は、腸内バランスを整える善玉菌
人の腸内には様々な種類の菌がおり、大きく分けて善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つの腸内細菌のグループがあります。健康的な腸内細菌のバランスは、善玉菌が占める割合が多い状態です。乳酸菌は善玉菌グループで、大腸菌などの悪玉菌の繁殖を抑え、腸内バランスを整える役割をしています。
腸内バランスが整うと得られる嬉しい効果
便秘改善
乳酸菌は、腸内で糖を分解し、乳酸を作ります。乳酸が腸を刺激し、腸が動くことによって、便通をうながします。
コレステロールの低下
乳酸菌は腸内の善玉菌を増やします。善玉菌はコレステロールを低下させるという報告があり、動脈硬化などの予防につながります。
免疫機能の維持
乳酸菌が作り出した乳酸が増えると、腸内が酸性にかたむき、悪玉菌の繁殖を抑えることができます。乳酸菌などの善玉菌は、ビタミンB群や葉酸などのビタミン類を腸内で作りカラダの調子を整えるために役立つほか、免疫機能の維持にも役立ち、病原菌に感染するのを防ぎます。
他にも、アレルギーを抑える、ストレスの減少効果などの報告があり、うれしい効果が期待されています。
腸内の乳酸菌を増やす方法
このように嬉しい効果がたくさんある乳酸菌を、腸の中で増やす方法は主に2つあります。
乳酸菌を含む食品を食べる
乳酸菌は、発酵食品や乳酸菌飲料、サプリなどで摂ることができます。生きて腸内に届き、善玉菌として働く乳酸菌のことを「プロバイオティクス」と言い、毎日続けて摂ると良いとされています。なぜなら乳酸菌は腸内にある程度の期間いますが、住み着くことはないと言われているためです。乳酸菌を含む食材を毎日食べて、腸に乳酸菌を送ってあげましょう。
乳酸菌のエサになるオリゴ糖や食物繊維をとり入れる
腸内にいる善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」を摂りましょう。乳酸菌を含む食品と一緒に、オリゴ糖や食物繊維を含む食べ物をとり入れることで、腸内の乳酸菌の数を増やせると考えられています。
⇒シンバイオティクスってなに?注目の腸活法について知ろう
■プロバイオティクス(発酵食品)
ヨーグルト・チーズ・納豆・ぬか漬け・キムチ・味噌・乳酸菌飲料など
■プレバイオティクス(オリゴ糖や食物繊維を含む食品)
大豆・玉ねぎ・ごぼう・ねぎ・にんにく・アスパラガス・バナナ・オリゴ糖シロップなど
大麦・なめこ・オクラ・アボカド・レモン・さつまいも・りんごなどの果物など
乳酸菌を増やすためのおすすめの食べ方
■定番!バナナヨーグルト
無糖のヨーグルトでも、バナナの甘さで砂糖を入れなくてもおいしく食べられます。また、オリゴ糖シロップやきな粉をプラスでいれるのもおすすめです。
■ぬか漬け
ぬか漬けはきゅうりやなす、にんじん以外にも様々な野菜を漬けることができます。ぜひおすすめしたいのは、ごぼうとアボカドです。ごぼうはオリゴ糖と食物繊維、アボカドは食物繊維が含まれています。意外と合うので、試してみてください。
■オクラ納豆
普段、納豆ご飯を食べているという方は、オクラを入れてみませんか。発酵食品の納豆に食物繊維がプラスできます。辛いものが苦手でなければ、キムチを入れて、オクラ納豆キムチにすると、さらに乳酸菌が摂れますね。
乳酸菌は多くの種類があり、最近では特徴的な機能を持つ乳酸菌も研究されています。今後また新たな機能性が発見されるかもしれません。毎日少しずつ乳酸菌を取り入れてみませんか?
〈参考・参照〉
e₋ヘルスネット
・https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-026.html
(最終閲覧日2023/01/31)
・https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
(最終閲覧日2023/01/31)
・https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-010.html
(最終閲覧日2023/01/31)
【執筆者】
大学で栄養学を学び栄養士の資格を取得。在学中は、経産婦の体型意識を調査し、健康的な体型と理想的な体型の差を研究した。3児の出産を経験し、自身の体型や食事が子どもに与える影響から食事の重要性を再確認し、食を通じて多くの人の健康やダイエットのサポートしたいと考え、現在はあすけんコラム執筆の他、栄養価計算やメニューデータの整備などを行う。
栄養士
井﨑 夏紀