授乳中の食事のポイントまとめ!とりたい食べ物・避けたい食べ物とは?
お母さんの健康と赤ちゃんの成長のために、妊娠中に引き続き、授乳中もバランスのよい食生活が望まれます。授乳中にとりたい食べ物や、気をつけたい食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか?今回は授乳中の食事のポイントについて解説します。
授乳中にとりたい食べ物と栄養素
授乳中は母乳が作られるため、また母乳から栄養素が失われるため、さまざまな栄養素の必要とされる量が増えます。授乳中に意識して摂りたい栄養素と、その栄養素を補給できる食べ物を紹介します。
おにぎり・乳製品・果物などで補給したい「エネルギー・タンパク質」
授乳中は母乳分のエネルギーやタンパク質として、妊娠前に比べ350kcalとタンパク質20gをプラスすることが勧められています。妊娠後期は450kcalとタンパク質を25gプラスする必要があったため、それよりやや少ない量となります。
育児中は食べることがおろそかになりがちですが、菓子類や甘いジュースなどはなるべく控えめにして、さまざまな栄養素が摂れるものからエネルギー・タンパク質補給をしましょう。
たとえばエネルギー補給にはおにぎりや果物など、タンパク質補給には牛乳やヨーグルトなどの乳製品、卵や大豆製品などを取り入れるとよいでしょう。
レバーや納豆、ほうれん草に含まれる「鉄」
妊娠中はたくさんの鉄が必要でしたが、母乳で鉄が失われるため、授乳中も引き続き必要です。妊娠前に比べプラス2.5mg、トータル9.0mgの摂取が推奨されています。女性は鉄の摂取量が不足気味でもあるので、意識して取り入れましょう。
鉄はレバーやカツオ、牛肉、卵、あさりといった動物性の食品や、納豆やほうれん草などに含まれます。
鉄補給のポイントはこちらの記事を参考にしてみてください。
→鉄が含まれる食材と摂取のポイント
乳製品や大豆製品、緑黄色野菜に含まれる「カルシウム」
授乳中はカルシウムの吸収率が高まるため、カルシウムを通常より多く摂る必要はありません。ですが20~40代の女性は必要とされる量の6~7割程度しか摂取できていないため、将来の骨粗鬆症予防のためにも積極的に摂りましょう。
牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品は、授乳中の間食にぴったりです。ほかにも、豆腐や納豆などの大豆製品、小松菜や切り干し大根などの野菜にも含まれます。
カルシウムの摂取のポイントはこちらの記事を参考にしてください。
→カルシウムが含まれる食材と摂取のポイント
授乳中に避けた方がよい食べ物はあるの?
授乳中は絶対に避けるべき食べ物というのはありません。ただし、アルコールやカフェインを含むものには注意が必要です。
これらは母乳を通して赤ちゃんに移行してしまいます。授乳中はアルコール飲料は避け、カフェインを含むものは量に気をつけるようにしましょう。
カフェイン摂取量について、国内の明確な基準はありませんが、海外の基準では1日200~300mg以内(コーヒー1~2杯分)におさめることが勧められています。
妊娠中に引き続き、もうしばらくはアルコール、カフェインには気をつけましょう
脂肪の多い食べ物はおっぱいが詰まるって本当?
「ケーキや脂っこい食事などはおっぱいが詰まる」などといわれますが、授乳中でも適度に楽しむ分には問題ありません。
日本助産師会・日本助産学会による乳腺炎ケアガイドライン2020では、特定の食べ物が乳腺炎の原因になるという根拠はないとされており、「乳腺炎の発症予防を目的とした食事制限は勧めない」と提案しています。(※1)
毎日のようにケーキや脂っこいものを食べるのは、カロリーオーバーの恐れや栄養バランスの面では勧められませんが、育児中の息抜きとしてほどほどに楽しんでくださいね。
育児中の食事の用意は大変ではありますが、ときにはお惣菜や冷凍食品などを利用しながら、できる範囲で食事のバランスを整えていきましょう。
【参考・参照】
(※1)日本助産師会・日本助産学会 乳腺炎ケアガイドライン2020
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
厚生労働省 令和元年 国民健康栄養調査
食品安全委員会 食品中のカフェイン<https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf>(最終閲覧日:2021/09/27)
【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
管理栄養士
広田 千尋