【2021年最新版】知っておきたい妊娠中の体重増加の目安

妊娠中、「どのくらい体重を増やしたらいいのだろう」と疑問に思っていませんか?赤ちゃんの成長のためにも、体重増加の目安を知っておくことが大切です。今回は2021年に発表された最新の体重増加の目安をお伝えするとともに、体重管理に役立つ食事のバランスの整え方もご紹介します。

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妊娠中の体重管理について

妊娠中の体重管理について、まずは知っておきたい知識について確認しましょう。

妊娠中はどうして適切な体重増加が必要なの?

妊娠中に体重が増えすぎることや、反対に増えないことでもさまざまなリスクがあることが知られています。赤ちゃんの成長のため、また妊婦さん自身の健康を守るためにも、推奨された体重増加量の目安を知っておきましょう。

ただし、産婦人科診療ガイドラインでは「厳格に体重管理を行う根拠は必ずしも十分でない 」ともされており、個人差が考慮される必要があります。のちほど体重増加の目安をお伝えしますが、自分の望ましい体重増加量については、産婦人科で医師に確認しましょう。

体重が増えすぎた場合はどんなリスクがある?

妊娠中の体重増加量が推奨量より増えすぎてしまった場合、以下のリスクが高まることが知られています。(※1,2)

・妊娠糖尿病
・妊娠高血圧症候群
・LGA児(large-for-gestational-age:妊娠週数に比べて赤ちゃんの体重が大きい)
・巨大児(4000g以上 )
・帝王切開分娩

赤ちゃんの発育だけでなく、出産への影響、母体への影響など、さまざまなリスクが知られています。

体重が増えなかった場合はどんなリスクがある?

反対に体重が増えなかった場合は、以下のリスクがあることがわかっています。(※1,2)

・早産
・SGA児(small-for-gestational-age:妊娠週数に比べて赤ちゃんの体重が小さい)
・低出生体重児(出生時の体重が2500g未満 )

日本では、若い女性のやせの割合が増加傾向 にあります。とくにやせた女性は、普通体型の女性に比べて早産や低出生体重児を出産するリスクが高いことも報告されています。

昔は「小さく産んで大きく育てる」ともいわれていましたが、お腹の赤ちゃんの発育が十分でなかった場合、成人後に肥満や糖尿病などの生活習慣病を発症するリスクがあることも知られています。

「妊娠中に増やし過ぎてしまうと戻すのが大変…」と思うことがあるかもしれませんが、目安の量を目標に、しっかりと増やすことが大切です。

妊娠中の体重増加の目安

これまで妊娠中の体重増加の目安として、2006年に策定されたものが用いられていましたが、2021年3月に新たに「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」 として15年ぶりに改定されました。今回はこの指針をもとに体重増加の目安をお伝えします。

望ましい体重増加量は妊娠前の体型によって異なる

体重増加の目安は、妊娠前の体型(BMI)によって異なります。

BMIは<体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)>

で求められます。自分のBMIを計算し、目安を確認してみましょう。

【妊娠中の体重増加の目安】

妊娠前の体格 BMI 体重増加の目安
低体重(やせ) 18.5未満 12~15kg
普通体重 18.5以上25.0未満 10~13kg
肥満(1度) 25.0以上30未満 7~10kg
肥満(2度以上) 30以上 個別対応(上限5㎏までが目安)

※厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」より

15年前の指針と比べると、増やしてよいとされる体重の量が増えています。繰り返しになりますが、この表はあくまで目安であるため、自分の望ましい体重増加量については、産婦人科で医師に確認しましょう。

食事に困ったときに役立つ「妊産婦のための食事バランスガイド」

バランスのよい食事の目安として「主食・主菜・副菜が揃っていること」があります 。ご飯やパンなどの「主食」、肉や魚、卵などの「主菜」、野菜やきのこ、海藻類などの「副菜」が揃った食事が理想です。

でも、どんなものをどれくらい食べたらいいか、なかなかわかりませんよね。そのようなときは、厚生労働省が公表している「妊産婦のための食事バランスガイド」で、1日に何をどのくらい食べたらよいかの目安を知ることができます。主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の目安の量について、イラストでわかりやすく示されています。一度チェックしてみましょう。

また妊娠期別の食事のポイントは以下の記事で紹介しています。参考にしてみてくださいね。
妊娠中に知っておきたい!妊娠期別の食事のポイント【まとめ】

体重管理には、毎日の体重測定が役立ちます。妊娠中はむくみやすいこともあり体重が変動しやすいのですが、1週間単位で比較して増減をチェックしましょう。

 

【参考・参照】
(※1)国立健康・栄養研究所 令和元年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業 妊産婦のための食生活指針の改定案作成および啓発に関する調査研究報告書<https://www.nibiohn.go.jp/eiken/ninsanpu/download_files/houkokusyo.pdf>(最終閲覧日:2021/05/24)
(※2)公益社団法人 日本産科婦人科学会/公益社団法人 日本産婦人科医会 産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020<http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf>(最終閲覧日:2021/05/24)
厚生労働省 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針<https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/ninpu-02.html>(最終閲覧日:2021/05/24)

【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。

広田 千尋

管理栄養士
広田 千尋

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