3月第2木曜日は「世界腎臓デー」!腎臓の働きと食生活のポイントを知ろう

3月第2木曜日は「世界腎臓デー」。国際腎臓学会と腎臓財団国際協会の提案で始まった、国際的な記念日です。この日は腎臓の大切さを普及するため、世界中でさまざまな啓発イベントが行われています。これを機に、みなさんも腎臓について知ってみませんか?

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腎臓の働き

腎臓の位置は腰より上のあたり、背中側。そら豆の形をしており、背骨をはさんで左右にひとつずつあります。腎臓には細い血管がたくさん集まっており、私たちの健康維持に欠かせない大切な働きが行われています。

まずはこの腎臓がどんな働きをしているのか知りましょう。

血液をろ過して尿を作る

腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として排出する働きをしています。このろ過液は「原尿」といい、1日に作られる量はなんと150リットルほど。この原尿には老廃物のほか、水分やナトリウム、アミノ酸なども含まれており、カラダに必要な物質は再吸収されて血液中へ戻ります。

このように腎臓は、カラダの水分量や電解質(ナトリウムなど)の濃度を一定に保ち、カラダのバランスを保つ働きもあります。

腎臓の働きが低下してしまうと、血液中の老廃物のろ過や排泄がうまくされなくなり、むくみや尿量の異常(多尿や尿量低下)など、さまざまな症状を引き起こします。

ホルモンを作る

腎臓の大切な役割としてホルモンの産生があります。腎臓が作るホルモンは、血圧を調整する「レニン」、血液を作る「エリスロポエチン」、骨を丈夫にする「活性型ビタミンD」の3つです。

腎臓の働きが低下し、これらのホルモンの分泌がうまくいかなくなってしまうと、血圧が高くなったり、貧血になったり、さらには骨がもろくなってしまったりとカラダに影響を及ぼしてしまいます。

腎臓の機能が低下してしまう原因

腎臓の働きが通常の6割以下に低下していたり、たんぱく尿などの腎臓の異常が続いたりすると慢性腎臓病(CKD)と判断されます。

この慢性腎臓病の原因は加齢(高齢)や遺伝的なものもありますが、メタボリックシンドローム(肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症など)と関連があることも知られています。糖尿病の合併症である腎症によるものや、高血圧、脂質異常症により腎臓の血管に動脈硬化が起こることで腎臓の働きを低下させてしまいます。

慢性腎臓病が進行し腎臓が機能しなくなると、透析や腎移植が必要となることも。健康を守るためにも、定期的な健康診断や検査、治療を受け、腎臓を守ることが大切です。

糖尿病予備群の方も要注意!知っておきたい糖尿病の合併症

腎臓を守るための食事のポイント

腎臓の働きを守るために私たちができることとして、加齢や遺伝的な要因は避けられませんが、生活習慣病であればコントロールすることが可能です。

生活習慣病と肥満は深い関連があるため、肥満がある方はまずは改善することが第一歩となります。肥満解消のためのエネルギーコントロールのほか、減塩を心がけることや、バランスよく食事をとることが大切です。

肥満(ダイエット)、減塩、食事のバランスについては以下のコラムを参考にしてください。

まず徹底したい!ダイエット開始時にすること8つ
減塩生活を始めよう!知っておきたい5つのコツ
ポイントは野菜・果物・主菜!「食事バランスガイド」で健康的にダイエット

※治療中の方は必ず医師の指示に従って食事療法を行ってください。

「世界腎臓デー」にちなみ、基本的な腎臓の知識をご紹介しました。定期的に健康診断を受けて腎臓の働きをチェックし、バランスの良い食生活を心がけ、あなたの大切な腎臓を守ってくださいね。

 

【参考・参照】
一般社団法人日本腎臓学会「腎臓の病気について調べる」<https://jsn.or.jp/general/kidneydisease/>(最終閲覧日:2022/2/24)
一般社団法人日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018<https://cdn.jsn.or.jp/data/CKD2018.pdf>(最終閲覧日:2022/2/24)

【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。

広田 千尋

管理栄養士
広田 千尋

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