栄養士が伝授!秋野菜を上手に食べるコツ
秋が旬の野菜が出回り始めました。一番おいしく食べられる旬の野菜をとり入れて、ヘルシーに食事を楽しむコツをあすけん栄養士が解説します。
欲しいメリットでチョイス!秋野菜のとり入れ方
夏の疲れで食欲がないときの食事にするなら
里芋・れんこんなどの秋野菜は、独特の粘りがあるため飲みこみやすく、夏の疲れで食欲が落ちているときにぴったりです。ポタージュスープにしたり、すりおろしと呼ばれる出汁でのばした和風の汁物にしても食べやすいですよ。
腸内環境を整えるなら
季節の変り目には、気温差などで体調を崩しやすくなりがちです。そんな時期には、腸内環境を意識した食事で、カラダ全体の調子を整えてみてはいかがでしょうか。悪玉菌の増殖を抑えるビタミンC、善玉菌を育てて増やすことを助けるビタミンB群(ビタミンB2、B6、ナイアシン)、水溶性食物繊維のβ-グルカンを含む野菜をとり入れましょう。
秋が旬の芋類やきのこ類は、ビタミンC・ビタミンB群、β-グルカンを摂ることができるのに加えて、不溶性食物繊維も含みます。
■ビタミンCを含む秋野菜:さつまいも・れんこん・じゃがいも
さつまいも・れんこんに含まれるビタミンCはでんぷんでコーティングされているため、加熱しても壊れにくく、調理による損失が少ないという特徴があります。
■ビタミンB群を含む秋野菜:さつまいも・里芋・やまいもなどの芋類、落花生、しいたけ・まいたけなどのきのこ類
ビタミンB2はビフィズス菌の増殖を助け、ビタミンB6は善玉菌を育てます。ナイアシンは皮膚や粘膜の健康を維持するので、腸内の粘膜の機能維持のために役立ちます。
■β-グルカンを含む秋野菜:しいたけ・まいたけ・しめじ・エリンギなどのきのこ類
食物繊維の一種であるβ-グルカンは、腸内まで届いて腸内細菌の餌になるプレバイオティクスとして注目されています。きのこ類は低カロリーな食材なので、ダイエット中には嬉しい食材ですね。
ダイエッター必見!秋野菜をヘルシーに楽しむコツ
さまざまな効果が期待できるものの、さつまいも・里芋・れんこんをダイエットにとり入れるなら、適量を守り、調理法を工夫することが大切です。
さつまいもをとり入れるコツ
カロリーが気になるさつまいもですが、中サイズのものを1/3本ほどを食べれば150kcal以下となりカロリーオーバーになる心配がありません。むしろ、便秘解消に役立つ食物繊維や美肌作りに効果を発揮するビタミンA(β-カロテン)・ビタミンEなどを摂ることができるため、甘いお菓子を食べるよりベターです。
さつまいもの甘みを十分に引きだすコツは、じっくり加熱すること。 例えば、アルミホイルに包んださつまいもを160℃に設定したオーブンで約90分焼けば、甘みが強くしっとりとした焼き芋に。もちろん、シナモンシュガーやバターなどは付けずにシンプルに食べるようにしましょう。
⇒砂糖不使用でも美味しい!さつまいもの手作りおやつ
里芋をとり入れるコツ
里芋は、いも類のなかでは比較的カロリーが低めで、糖質量も少なめです。
100gあたりの里芋とさつまいもを比較すると、里芋のカロリーは58kcalでさつまいもの半分以下。糖質量は36%ほど少ない11.2gです。このうれしい特徴をダイエット中の食事に活用するなら、砂糖を使った煮物にするより、「きぬかつぎ」にしてみましょう。カロリーオーバーになりにくく、ねっとりとした食感と素朴な味わいを楽しむことができます。
《きぬかつぎの作り方と食べ方》
1.洗った里芋を皮付きのまま蒸し器で15~20分蒸す。
2.蒸したての里芋の皮をむき、少量の塩をつけて食べる。
蒸し器がないときは、里芋を1個ずつラップで包み、電子レンジで約5分加熱すればOKです。
れんこんをとり入れるコツ
れんこん100gあたりの糖質量は14.2gと里芋より多め。実は食べ過ぎに注意したい食材です。
きんぴらにするなら、れんこんだけで作るのではなく、こんにゃくを加えて糖質とカロリーを抑えるとダイエット向きのメニューになります。砂糖を控えめにして薄味にするのもおすすめです。
秋野菜には、冬へ向けて体調を整えるのに役立つ栄養素がたっぷり含まれています。カシコクとり入れてみてくださいね。
【参考】
中村丁次監修 「栄養の基本がわかる図解辞典」成美堂出版(2008年p140,p148,p211)
【執筆者】
コントラクトフードサービス大手(株)グリーンハウスに入社、社員食堂のメニュー提案や栄養指導業務を経て、2009年「あすけん」に参加。アドバイス作成やサービス開発に携わる傍ら、年間150件以上の栄養指導やプロアスリート選手の食事サポート、セミナーなどを実施。現在はフリーランスに転向し、幅広く活躍。
管理栄養士
衞藤敬子