栄養士が解説!ダイエット中でも免疫機能を下げない方法
インフルエンザなど感染症を予防するために大切なことは、石けんによる手洗いとアルコール消毒、そしてなにより健康管理です。健康管理の基本は、十分な栄養がとれる食事と睡眠をとること。今回は、免疫機能を下げずにダイエットをするポイントを解説します。
免疫機能とは?
私たちのカラダにはもともと免疫機能が備わっています。免疫とはカラダを守る防御システムのことで、この機能によって、体内に入ってきたウイルスや細菌をやっつけています。栄養状態や心身の状態が悪いとこの免疫機能が低下し、風邪をはじめとする様々な病気にかかりやすくなってしまいます。
無理なダイエットをしていませんか?
無理なダイエットをすると、体調を悪くしたり、免疫機能も低下しかねません。BMI(体格指数)が18.5以下の人や、1か月で5%の体重減少がある場合は注意が必要です。しっかりと栄養をとり、感染症に対しても対抗できる免疫機能を維持することが大切です。
⇒わたしの理想のBMIはどのくらい?
ダイエット中でも免疫機能をキープする健康管理のポイントは、次の4つです。
免疫機能を維持するポイント
1. 目標摂取カロリーを満たす
1日に必要なカロリーをしっかりとりましょう。1日に必要なエネルギーは、成人女性は約2000kcal、男性は約2600kcal(※1)です。ダイエット中の目標摂取カロリーはこれより少なくなる場合もありますが、減量体重と期間に合わせて、「基礎代謝」を下回らないカロリーに設定しましょう。
⇒目標摂取カロリーをあすけんでチェックする
エネルギーを生み出す栄養素はタンパク質・脂質・炭水化物の3つで、どれも大切です。肉は太るから食べない、ご飯は食べない、など極端な制限をすると、必要なエネルギーが不足してしまう可能性があるため気を付けましょう。
2.栄養バランスの整った食事をとる
■一汁三菜を目指す
栄養バランスの良い食事の例として、イメージしやすいのは一汁三菜の和定食スタイルです。ご飯・汁もの・肉・魚・豆製品を使ったメインの料理・野菜や海藻を使った小鉢2品の組み合わせなら、たんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルといった栄養素がとれます。パスタやうどん・そば、丼ものなどの単品メニューを選ぶときには、サラダやスープなどの副菜を組み合わせるとバランスがよくなります。
⇒バランスの良い食事の組み立て方
タンパク質が極度に不足する「タンパク質欠乏症」は、免疫機能が低下して感染症にかかりやすくなることがわかっています。また鶏肉・レバー・マグロ・カレイ・納豆・牛乳等には、皮膚や粘膜を保護するビタミンB2・B6も含まれています。主菜などでしっかりとるようにしましょう。
発酵食品にも様々な健康効果が期待されているため、味噌・しょうゆ・納豆・かつお節・ヨーグルト・漬物・キムチなども、身近なものから食事にとり入れてみるのも良いでしょう。
■野菜・果物をとる
野菜や果物は、タンパク質・脂質・炭水化物を効率よく代謝させるためのビタミン・ミネラル類の供給源になります。ビタミン・ミネラルは、細胞をつくり粘膜を保護したり、体の調子を整える栄養素です。体内で作ることができないものもあるため、食べ物からとり入れる必要があります。
皮膚や粘膜を正常に保つ作用のあるビタミンAや、抗酸化作用を持つビタミンCなどは、免疫機能を正常に保つために大切な働きをすることが知られています。にんじんやピーマンなどの緑黄色野菜や、キウイ・かんきつ類などの果物に含まれます。
3.十分な睡眠をとる
睡眠は、体の疲れをとるだけではなく、記憶力・気分のコントロール・免疫機能の増強など、心や体の機能に広く関連しているとされます。2015年のアメリカのカリフォルニア大学の研究では「睡眠不足の人が風邪をひく確率は、休息を十分にとっている人より4倍以上に上昇する」という研究結果が発表されています。(※2)
同時に、睡眠不足はダイエットにも大敵です。健康な人でも一日10時間たっぷりと眠った日に比較して、寝不足(4時間睡眠)をたった二日間続けただけで食欲を抑えるホルモンであるレプチン分泌は減少し、逆に食欲を高めるホルモンであるグレリン分泌が増えるため、食欲が増大することが分かっています。個人差はありますが、6.5~7時間は確保して質の良い睡眠をとる工夫を心がけましょう。
4.運動をする
適度な運動はダイエット以外にも、生活習慣病の予防に有効であることは知られていますが、風邪や感染症の予防に対しても効果が期待されています。
とくに宅ワークによって活動量が減っている方は要注意。軽いウォーキングや筋トレなどの手軽にはじめられるものでよいので、運動不足にならないよう気をつけましょう。
こまめな手洗いと手指の消毒などの対策を忘れずに、無理のない健康的なダイエットを目指しましょう。
【参考・参照】
※1 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2020年版)
※2 Aric A. Prather et al.,“Behaviorally Assessed Sleep and Susceptibility to the Common Cold”,Sleep. 2015 Sep 1, 38(9), 1353–1359
公開日:2020/3/13
最終更新日:2022/1/28
【執筆者】化粧品ブランドに14年間勤務後、からだの内側からも美容や健康をサポートしたいという思いから栄養士の資格を取得。現在はあすけん栄養士としてコラム執筆やセミナー講師、オンライン栄養カウンセリングを担当。
栄養士
多田 綾子
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