どんな運動をしたらよい?パフォーマンスを上げる運動3つ

運動と脳に関する研究が進んでいます。最新の研究では、運動を取り入れることによって脳細胞が増えたり、脳内物質の分泌が活発になるなどして、記憶力・認知力・実行力が向上することがわかってきています。

運動はダイエットや筋力を保つだけではなく、脳のコンディションを整えるためにも効果があるようです。それでは一体、どんな運動をすれば良いのでしょうか。解説を交えながらご紹介します。

ヨガマット、縄跳び、りんご、水筒、メモ

有酸素運動で記憶力を高める

「脳に良い運動」はウォーキング?それとも、スクワットがいいのでしょうか?エネルギー代謝の種類で運動を区別する時に、酸素を使って糖質や脂質をエネルギーに変える「有酸素運動」と、短時間で強い負荷がかかり、エネルギーを作るのに酸素がいらない「無酸素運動」があります。脳にもたらす影響としては、有酸素運動は脳の神経伝達物質を増やしたり、脳の血管や新しい細胞を生み出す効果があると言われています。

日本で行われた研究では、ウォーキングやヨガなどの軽い運動をわずか10分行うだけで、脳の学習・記憶をつかさどる海馬が刺激され、記憶力を高められることがわかりました。(※1)体力に自信のない人でもすぐにできる運動です。記憶力や実行力など脳の機能別にどんな運動が効果的かという研究も進められており、今後明らかになってくる結果にも注目ですね。
ふとした時にできる運動3つ

運動で「幸せホルモン」を増やしてポジティブ思考に

たくさんある脳内の神経伝達物質の中で、記憶力や感情に関係する「セロトニン」や「エンドルフィン」は、運動で分泌量が増えたり、活性化されます。「セロトニン」の活性化には、ウォーキングジョギングなど「一定のリズムを刻む運動」が効果的と言われています。

セロトニンは脳内の情報伝達のバランスを整える神経物質で、脳内のセロトニン量が増えると心が落ち着いてさわやかな気分になり、集中力も高まります。不安や抑うつ感なども改善され、元気が出てポジティブな気分になると言われています。「エンドルフィン」も脳内の神経伝達物質の一つで、鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られます。
セロトニンの持つ効果とは?

すぐにできる!脳のパフォーマンスを上げる運動

1.ジョギング・ウォーキング・サイクリング

ゆっくりで良いので、10~30分間行いましょう。おすすめの時間帯は朝。交感神経が活性化され、心拍数が上がり血行が良くなり、脳への血流もアップ。交感神経が優位な時間が増えると意欲的になり、ポジティブな思考になりやすいです。

仕事などで座りっぱなしの方は、こまめに立ち上がって歩くことも運動効果があります。西オーストラリア大学などが中高年を対象に行った研究では、一定時間の間に、ウォーキングをしたグループの方が座ったままのグループよりも記憶力や実行力が高いということがわかったそうです。(※2)1時間に1度は立ち上がったりトイレに行くなどを心がけると仕事効率がアップするかもしれません。

2.よく噛んで食べる

よく噛むことも脳の活性化につながるとの研究が進められています。食事の際は30回以上噛む、ガムを噛むなどすると、脳の前頭前野や海馬にも刺激が与えられ、記憶力や認知力が高まると言われています。朝は朝食をしっかり噛んで食べて、午後に仕事中に眠くなったり頭が働かないなと感じたら、ガムを噛んでみてください。食事をする際は噛む回数を数ると、噛むことに意識をむけられるのでより効果的です。
ダイエットや小顔効果も!よく噛むメリット

3.呼吸(深呼吸を繰り返す)

忙しく動き回っていたり、仕事や作業に集中していると、リラックスしているときと比べて呼吸の回数が少なくなったり、呼吸が浅くなります。「息をつく暇がない」「息抜き」などの慣用句の表す通り、呼吸は私たちの心理状態とも深いつながりがありますね。深呼吸を繰り返すことで副交感神経が活性化し、心身がリラックスします。ストレス解消に役立てて仕事の効率アップにつなげましょう。

また腹式呼吸を意識すると、「ドローイン」というエクササイズもあるように、横隔膜を動かして深呼吸を繰り返すことによりインナーマッスルを鍛えることもできます。
呼吸の基本は腹式呼吸!ヨガで身体に意識を向けよう

 

運動をすると脳の働きを良くするだけでなく、心身の健康にも役立ちます。頭の働きや体調を常に良い状態に保つ努力をし、自分で自分のコンディションをコントロールして、様々なことに前向きに取り組みたいですね。

【参照・参考】
※1 Kazuya Suwabe et al., Rapid stimulation of human dentate gyrus function with acute mild exercise, PNAS

<https://www.pnas.org/content/115/41/10487>
※2 英国スポーツ医学雑誌 <http://dx.doi.org/10.1136/bjsports-2018-100168> (最終閲覧日2019/6/20)

【執筆者】
化粧品ブランドに14年間勤務後、からだの内側からも美容や健康をサポートしたいという思いから栄養士の資格を取得。現在はあすけん栄養士としてコラム執筆やオンライン栄養カウンセリングを担当。

多田 綾子

栄養士
多田 綾子

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