抗酸化作用で過酸化物質を分解【セレン】
高い抗酸化栄養素があると注目されている「セレン」。セレン自身が抗酸化力を持つだけでなく、抗酸化酵素の構成成分にもなります。魚介類に多く含まれており、食事からとった50%以上が消化管から吸収される(※1)ため、海産物を多く食べる日本人は不足の心配がない栄養素の一つです。
セレンの働き
抗酸化作用
セレン自身も抗酸化作用の働きがあるため、活性酸素の発生を抑制し細胞の酸化や老化を抑えてくれます。
⇒老化・肥満はカラダの酸化が原因!抗酸化物質を多く含む食べ物
抗酸化酵素の構成成分になる
セレンを含む抗酸化酵素「グルタチオンペルオキシダーゼ」はすべての細胞に存在します。活性酸素を除去し、酸化により細胞が傷つくのを防ぎます。
甲状腺ホルモンの作用を促す
セレンを含む酵素は甲状腺ホルモンであるチロキシンを、活性に強いトリヨードチロニンに変えてくれます。甲状腺ホルモンは基礎代謝を高める働きがあります。
セレンの摂取目安量
セレンの推奨量は成人男性30㎍/日、成人女性25㎍/日です。(※2)
過剰摂取が続いた場合
セレンは過剰摂取による健康被害があるため、日本人の食事摂取基準(2020年版)では耐容上限量が設定されています。
サプリメントなどでの過剰摂取により悪心・吐き気・下痢・頭痛などの症状が起こります。
不足が続いた場合
克山病(心筋障害)や成長障害・免疫低下・筋肉委縮などが起こります。
セレンが多く含まれる食材・食事
セレンが多く含まれる食材は以下の通りです。(※3)
豚レバー(60g) | 40μg |
鶏卵(Mサイズ1個60g) | 14μg |
さば(80g) | 36μg |
いわし | 48μg |
牛乳 | 3μg |
納豆(1パック50g) | 8μg |
※特に記載のないものは、食品100gあたりの含有量を表示しています。
セレンを摂取するポイント
普段の食事でセレンは補えます。サプリメントをいくつも摂取しているとセレンの過剰症につながるので、サプリメントに偏らないようにしましょう。セレンと同様、ビタミンEも抗酸化作用があります。一緒にとり入れることで相乗効果があります。
おすすめレシピ
■ほうれん草と豚レバーの薬味ソース
セレンが豊富な豚レバーと抗酸化作用のあるほうれん草を使ったレシピ。鉄吸収率の高いメニューなので、鉄不足で悩んでいる女性にもおすすめです。
⇒栄養士が教える貧血対策!かんたん常備菜で鉄分不足を解決☆
■さばのグリル 和風おろしソース
セレンが豊富なさばを使ったレシピ。EPA・DHAが豊富なさばは、悪玉コレステロール(LDL)を下げる効果も期待できます。
セレンは魚介類・肉類・卵・乳製品に含まれています。それぞれを万遍なくとり入れ、バランスの良い食生活を心がけましょう。
【参考・参照】
(※1)国立栄養・健康研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 セレン〈http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail682.html〉(最終閲覧日:2017/7/13)
(※2)厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)〈https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html〉(最終閲覧日:2020/5/14)
(※3)文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)〈https://fooddb.mext.go.jp〉(最終閲覧日2022/4/5)