エネルギーの代謝をサポート【ナイアシン】
ナイアシンはビタミンB群のひとつで、人の体内で最も多く存在します。体内ではエネルギーを作り出す過程で重要な役割を果たしています。またアルコールの分解にも欠かせない栄養素で飲酒量の多い人ほど意識してとりましょう。
ナイアシンの働き
ナイアシンの働きには主に以下のようなものがあります。
糖質・脂質・タンパク質の代謝をサポート
ナイアシンは、体内でNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)になり、このNADは糖質・脂質・タンパク質からエネルギーをつくるときに補酵素として働きます。
アルコールを分解する補酵素
NADは、アルコール飲料を飲むと体内につくり出されるアセトアルデヒドを分解するときの補酵素にもなります。
⇒飲めば飲むほど強くなるはウソ!?アルコールを分解する仕組み
皮膚や粘膜の健康維持
ナイアシンの摂取量が少ないと、皮膚がカサカサになるなどの症状が起こることから、ナイアシンには皮膚や粘膜の健康維持に重要な役割があります。
神経の安定
さらに、不足状態が続くと頭痛や認知症などの神経障害が起こるため、神経の安定に欠かせません。
ナイアシンの推奨摂取量
ナイアシンの推奨量はこちらです。(※1)
男性: 18~49歳 15mgNE/日、50~74歳 14mgNE/日
女性: 18~29歳 11mgNE/日、30~49歳 12mgNE/日、50~74歳 11mgNE/日
過剰摂取が続いた場合
サプリメントなどで多量に摂取すると、皮膚がヒリヒリしたりかゆくなったり、顔面紅潮がみられます。他に肝機能障害を起こすこともあります。
不足が続いた場合
欠乏症はほとんど見られませんが、まれにタンパク質やビタミンをとらないアルコール依存症患者などに皮膚炎や手足のしびれといった症状をきたすペラグラという病気を引き起こします。
ナイアシンが多く含まれる食材・食事
ナイアシンを多く含む食材は以下の通りです。(※2)
カツオ(1人前80g) | 15.2mg |
たらこ(1人前1/2本25g) | 12.5mg |
さば(1人前100g) | 12.0mg |
ぶり(1人前100g) | 9.5mg |
豚レバー(1人前80g) | 11.2mg |
鶏むね肉・皮つき(1人前80g) | 8.8mg |
鶏ささみ(1人前2本100g) | 12.0mg |
舞茸(1/2パック90g) | 4.5mg |
ピーナッツ(15粒10g) | 2.3mg |
そば・乾燥(1人前80g) | 2.6mg |
※特に記載のないものは、食品100gあたりの含有量を表示しています。
ナイアシン摂取のポイント
ナイアシンは熱に強く、調理や保存でも壊れにくいビタミンです。ただし、熱湯には溶けやすいため肉や魚の煮物では、煮汁ごと食べられるようにあんかけやスープにするのがおすすめです。
また、ナイアシンは、体内で必須アミノ酸のトリプトファンからもつくられるため、これにかかわるビタミンB1・B2・B6が不足していると体内合成力が低下するとされています。色々な食材をバランスよく食べるようにしましょう。
⇒脳内物質に不可欠なビタミンB6を手軽に増やすコツ
【参考・参照】
(※1)厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)〈https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html〉(最終閲覧日:2020/5/14)
(※2)文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)〈https://fooddb.mext.go.jp〉(最終閲覧日2022/4/26)