にんじんだけじゃない!?ビタミンAを適正に近づけるには?

日本人に不足しがちなビタミンAは、粘膜の健康維持や抗酸化作用に関わるため、毎日意識してとり入れたいもの。
ビタミンAといえば「にんじん」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、効率的に摂取量を増やすには、どのような工夫をすればよいのでしょうか。今回はビタミンAの豊富な食べ物と、増やすコツを紹介します。

pixta_29324639_S

ビタミンAを増やすコツ!豊富な食べ物とおすすめのとり入れ方

ビタミンAを増やすには、豊富な食べ物の中でも、身近な食べ物から増やしていくのがおすすめです。コツをとり入れやすい順に紹介します。

①色の濃い野菜・海藻類を増やす

色の濃い野菜や海藻類はビタミンAが豊富なうえ、毎日とり入れやすい食べ物です。

中でもにんじん小松菜ほうれん草は1年を通して手に入り、ビタミンAの含有量も優秀です。毎日意識してとり入れるほかに、まとめて下処理して冷凍保存しておくと、味噌汁や炒め物などにパパっと使えて便利です。

また、のりわかめなど、手軽にプラスしやすい海藻類も増やしてみましょう。

1人前量あたりのビタミンA(レチノール活性当量)含有量】

食品名 1人前目安 含有量
にんじん(生) 50g・片手1杯分 315μg
ほうれん草(ゆで) 70g・お浸し1個分 315μg
小松菜 70g・お浸し1個分 182μg
ブロッコリー(ゆで) 60g・小分けの房3個分 41.4μg
ひじき(ゆで) 70g・小鉢1個分 19.6μg
焼きのり 0.5g・6つ切り1枚分 11.5μg
カットわかめ(水煮) 15g・片手1杯分 2.25μg

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

②卵・乳製品を毎日食べる習慣を作る

卵、チーズは手軽にとり入れやすいため、毎日食べる習慣をつけると、ビタミンAの摂取量を増やせます。目安として、卵は1日1個、チーズは1切れ(20g)程度にすると、食事バランスを整えやすくなります。

また、油脂の中でもバターはビタミンAが豊富です。炒め物をする際に、バターを少量使うようにしてもいいですね。

1人前量あたりのビタミンA(レチノール活性当量)含有量】

食品名 1人前目安 含有量
モッツァレラチーズ 50g・1玉100gの半分 140μg
卵(全卵) 55g・生 115.5μg
無塩バター 10g・200gを20等分したひとかけら 80㎍
チェダーチーズ 17g・スライスタイプ1枚 56.1μg
プロセスチーズ 20g・厚さ1cm1個 50μg

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

③魚介類の頻度を増やす

魚介類はビタミンAを含むものが多く、肉類に比べると含有量は高めの傾向があります。

魚を食べる回数を増やしたり、手軽にとり入れられるちりめんじゃこ(またはしらす干し)をプラスしたりするとよいでしょう。

1人前量あたりのビタミンA(レチノール活性当量)含有量】

食品名 1人前目安 含有量
うなぎのかば焼き 100g・1串分 1500μg
くろまぐろ(養殖)赤身 50g・5切れ分 420μg
ししゃも焼き 90g・3尾分 81μg
いくら 17g・大さじ1杯分 56.1μg
ちりめんじゃこ 5g・大さじ1杯分 12μg
しらす干し 5g・大さじ1杯分 9.5μg

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

④週1回程度、レバーに挑戦してみる

レバー(肝臓)は体内でビタミンAを貯蔵する場所のため、ビタミンAの含有量がずば抜けて優れています。週に1回程度とり入れると、ビタミンAはもちろん、女性に不足しがちな鉄の補給にも役立ちます。調理の手間がかかるため、お惣菜や焼き鳥などを利用してもOKです。

1人前量あたりのビタミンA(レチノール活性当量)含有量】

食品名 1人前目安 含有量
レバー(鶏) 70g・焼き鳥の串1本分 9800μg
レバー(豚) 70g・炒めもの1人分 9100μg
レバー(牛) 70g・焼き肉6切れ分 770μg
鶏手羽先 180g・3本分 91.8μg
鶏もも肉(皮つき) 150g・鶏もも肉1/2枚分 60μg

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

ビタミンAをとり入れる際の注意点

健康づくりに役立つビタミンAですが、過剰摂取には注意が必要です。特に動物性食品に含まれるビタミンAはレチノールといい、肝臓に過剰に蓄積すると、健康へ影響を与える恐れがあります。

先ほど紹介したレバーはビタミンAのよい補給源となりますが、週に何度も食べたり、大量に食べたりするのは過剰摂取につながりかねません。週に1回程度を目安にとり入れてみてください。

一方で、にんじんやほうれん草などの植物性食品に含まれるビタミンAは、過剰症を起こす恐れがないとされています。色の濃い野菜はビタミンA以外にも、カルシウムや鉄を含むため、積極的に食事にとり入れたいですね。

カロテンの過剰摂取による「柑皮症」は一過性のもの

にんじんやかぼちゃみかんなどのカロテン(ビタミンAの前駆体)を多く摂った場合に、皮膚が黄色くなる「柑皮症(かんぴしょう)」になることがあります。しかしこれは一過性のものであり、摂取量を減らすことで改善するとされています。

ひとつの食べ物ばかりとるのではなく、バランスよく食べるように心がけましょう。

 

ビタミンAは脂溶性であるため、脂質と組み合わせることで効率よく摂取できます。そのほか、ビタミンAの特徴については下記コラムを参考にしてみてください。

目のビタミン【ビタミンA】

 

※1人前量は、あすけん独自の目安量です。

 

【参考・参照】
厚生労働省 令和5年「国民健康・栄養調査」<https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45540.html>(最終閲覧日:2025/2/25)
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)<https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html>(最終閲覧日:2025/2/25)
食品安全委員会 ビタミンAの過剰摂取による影響<https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-vitamin-a.pdf>(最終閲覧日:2025/2/25)
藤井寺市医師会 柑皮症(かんぴしょう)<http://www.fujiidera-med.or.jp/mame/mame090626.htm>(最終閲覧日:2025/2/25)

【執筆者】
管理栄養士。病院、保健センター、保育園で幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在はフリーランス管理栄養士として、ライターやレシピ制作を中心に活動中。あすけんではコラム執筆などを担当している。HP:https://hirotachihiro.com/

広田 千尋

管理栄養士
広田 千尋

ページトップ