魚を食べて頭もカラダも元気に!知っておきたい魚を食べるメリット
魚料理、あなたは週に何回食べていますか?「食べた方がいいのはわかっているけど…」と思っていても、魚は苦手、魚料理は面倒…とつい敬遠してしまう方も多いもの。今回はそんな方に知って欲しい、魚を食べることで得られるメリットや、手軽に魚を取り入れるコツをお伝えします。
日本人の肉食化!?血液ドロドロのリスクも
近年、日本人が魚を食べる量は年々減ってきており、“肉食化”が進んでいることがわかっています。
厚生労働省による国民健康・栄養調査の結果で、1人1日あたりの魚介類と肉類の摂取量を20年前と比較してみましょう。(※1)
1999年 | 2019年 | |
魚介類 | 94.3g | 64.1g |
肉類 | 78.4g | 103.0g |
20年前の1999年に比べ2019年は、魚介類は3割以上減、一方で肉類は3割以上増となっています。これはどの年代にも同じ傾向がみられ、70歳以上の高齢者でも肉の摂取量が増えてきています。
肉類に含まれる飽和脂肪酸に注意!
肉に含まれる脂質の多くは飽和脂肪酸といい、悪玉コレステロールを増やしてしまう働きがあります。
悪玉コレステロールの高値は動脈硬化を進め、狭心症や心筋梗塞などを引き起こすリスクとなります。また脂質を多く摂ることでカロリーオーバーしやすくなり、肥満の原因にも。
ここ1週間の食事を振り返ってみて「1度も魚を食べていない…」なんて方は、とくに肉に偏っていることが考えられるので、注意が必要です。
魚を食べよう!知っておきたい魚を食べるメリット
肉類を減らし、魚を食べる回数を増やすことで得られるメリットを確認しましょう。
動脈硬化予防や心疾患予防を期待!
魚に含まれる脂質の多くは不飽和脂肪酸といい、中でも青魚(さば・さんま・いわし・あじなど)に多く含まれるオメガ3系脂肪酸は、動脈硬化予防や心疾患(心筋梗塞・狭心症など)予防など、さまざまな働きが報告されています。
国立がん研究センターによる調査では、魚を食べる回数が多いほど心疾患のリスクが低下したことがわかっています。(※2)結果では、魚を食べる回数が週1~2回でも心疾患予防に繋がりましたが、週3回以上食べることでさらにリスクの低下がみられました。
魚を食べる回数が多いほど効果が期待されるようなので、「今食べている回数より増やす」ことを意識するといいでしょう。
認知症予防や記憶サポートも!?
青魚に含まれるオメガ3系脂肪酸の中でも、EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)には、認知症予防や改善に効果があるといわれています。
魚の摂取量と認知症発症リスクについて、65歳以上の日本人を対象に行われた研究があります。(※3)その結果では、魚の摂取量が最も少ないグループに比べ、最も多かったグループは認知症発症リスクが16%減少したことがわかりました。
中でもDHAには、記憶のサポートをしてくれる働きも報告されており、機能性表示食品の関与成分としても知られています。
ダイエット中のタンパク質補給に!
肉類に比べると魚介類は、脂質が少なく、カロリーが低い傾向にあります。タンパク質は肉類と同様に摂れるため、脂質・カロリーをカットしながらタンパク質補給が可能です。
たら・かれい・ひらめ・かじき・まぐろ(赤身)などは、魚の中でも脂質が少ないものに分類されます。魚は旬によってさまざまな種類が楽しめるので、ダイエット中でも飽きずに取り入れられますね。
簡単に魚を取り入れるコツ3つ
面倒に思われがちな魚料理も、工夫すると簡単に取り入れることができますよ。
コツ①外食やコンビニで魚を選ぶ
外食やコンビニなどの利用が多い方は、魚を選ぶ回数を増やしてみましょう。
例えば、
・2回に1回は魚のメニューにしてみる(焼き魚定食、刺身定食、海鮮丼など)
・コンビニやスーパーのお惣菜(焼き魚、煮魚など)を利用する
といった具合に工夫してみましょう。
コツ②切り身で簡単調理
魚をさばいたり、おろしたりするのは大変ですが、切り身を使えば手軽に調理できます。最近では骨を抜いた切り身も売られているので、骨が苦手という方にもおすすめです。
魚料理は和食だけでなく、洋食や中華など、さまざまな料理に合うので、好みのメニューを探してみましょう。
リンクをクリックするとクックパッドのレシピを確認できますよ。
⇒さばを使ったレシピはコチラ
⇒鮭を使ったレシピはコチラ
⇒白身魚を使ったレシピはコチラ
コツ③缶詰を使ってさらに簡単に
魚の缶詰を利用すると、下処理や調理の手間が省けるので、手軽に魚を取り入れられます。
例えば、
・さばの水煮缶…煮込み料理やサラダなどに
・いわし・さんま・さばなどの味噌煮缶、蒲焼き缶…野菜と一緒に炒める、炊き込みご飯の具材にする
などと、さまざまなアレンジが簡単できますよ。
こちらのコラムでさばの水煮缶レシピを紹介しているので、参考にしてみてくださいね。
自身が取り入れやすい方法を見つけて、魚を食べる回数を増やしてみましょう。ただし、妊婦さんは一部の魚をとり過ぎない方がいい場合があります。妊娠中の方は下のコラムを読んでみてくださいね。
⇒どれくらいならOK?妊娠中に注意すべき魚の種類と摂取目安量
【参考・参照】
(※1)厚生労働省 国民健康・栄養調査<https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html>(最終閲覧日:2021/03/25)
(※2)Hiroyasu Iso , Minatsu Kobayashi, Junko Ishihara, Satoshi Sasaki, Katsutoshi Okada, Yoshikuni Kita, Yoshihiro Kokubo, Shoichiro Tsugane, JPHC Study Group,“Intake of fish and n3 fatty acids and risk of coronary heart disease among Japanese: the Japan Public Health Center-Based (JPHC) Study Cohort I”,Circulation. 2006 Jan 17;113(2):195-202
(※3)Nozomu Tsurumaki. Shu Zhang. Yasutake Tomata. Saho Abe. Yumi Sugawara. Sanae Matsuyama. and Ichiro Tsuji,“Fish consumption and risk of incident dementia in elderly Japanese: the Ohsaki cohort 2006 study”,British Journal of Nutritio Volume 122,2019, 1182–1191
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
管理栄養士
広田 千尋