低カロリー食品ダイエットの注意点を管理栄養士が解説
最近増えてきた低カロリー食品。ダイエッターには魅力的で欠かせない食品かもしれません。しかし、低カロリー食品ばかり選んでいると意外な落とし穴も。低カロリー食品の特徴を知り、うまく活用することが大切です。
低カロリー食品の落とし穴
食事のカロリーを気にするあまり低カロリー食品ばかり食べ続けていると、以下のような症状が起こる可能性があります。
代謝に必要な栄養素が不足する
食事のカロリーを抑えても、代謝に不可欠なビタミン・ミネラルなどの栄養素が不足すると効率的にエネルギーを作り出せず、代謝が低下し、その結果痩せにくい体質になります。また、摂取カロリー不足が続くと、消費カロリーを生み出す筋肉量も減ってしまい、これも代謝が低下する原因になります。
⇒痩せ体質を手に入れよう!代謝を上げる食材とは
ストレス
低カロリー食品ばかり利用しても、思うように痩せないとストレスが溜まりやすくなります。ストレスはダイエットの大敵。ストレスにより自律神経のバランスを崩すと、カラダの免疫力や消化機能などが低下するため、痩せにくいカラダになってしまいます。
⇒ストレス回避!ストレスをためない食べ方
低カロリー食品だからと言って食べすぎてしまう
低カロリーだからと安心することで、かえって本来の食事よりも多く食べ過ぎてしまい、エネルギー過剰になってしまうこともあります。
代表的な低カロリー食品の特徴
それぞれの特徴を知ってダイエットに役立てましょう。
ダイエットドリンク(置き換え食品)
置き換えダイエットとして手軽に利用できます。1~2食置き換えるだけで1日に必要な栄養素が補え、カロリーは控えられるというものです。はじめのうちは順調に体重が減っていきますが、停滞期に入るとリバウンドしてしまうことも。
また、「噛む」ことで脳に刺激を与えると、満腹感を感じるヒスタミンが分泌されることがわかってきました。(※)噛まずに食べられるものばかり口にしていると、食事をしたという満足感が得られず、そこから欲求不満状態が続き、ストレスから食事量が増えリバウンドしてしまうこともあります。
あまり噛まなくていよい食品は食物繊維が少ないものが多いため、便秘にもなりがちに。便秘は腸の活動が鈍くなるので、代謝の低下に繋がります。
ノンカロリー飲料・ゼロカロリー食品
ノンカロリー飲料はカロリーゼロと記載されているので、全くカロリーがないと思われがちです。しかし実は、栄養表示制度では100ml当たり5kcal未満はノンカロリーと表示することができるため、カロリーが「ゼロ」ではないものもあります。「ノンカロリー飲料だから」と過信していると、知らないうちに摂取エネルギー量が増えているかもしれません。
人工甘味料
低カロリー食品に使用されることの多い人工甘味料。砂糖に比べるとカロリーも低く血糖値の上昇が少ないので魅力的です。種類によっては砂糖の200倍の甘みを感じるものも。
しかし、糖分ではないため満腹感を感じにくく、かえってほかの食事を食べ過ぎてしまったり、食品添加物として継続的に摂取することによって将来カラダに何らかの影響が出る可能性もあるとも言われています。
低カロリー食品を上手く使うポイント
カロリーの高い食品の代わりにする
お菓子やアルコールなどに代表される嗜好品は高カロリーになりがち。食事自体を低カロリーに抑える前に、1日のうちでカロリーの高いものを見直しましょう。その中で代替えできそうな嗜好品などを低カロリー商品に置き換えてみると良いでしょう。
例)
● アーモンドチョコレート(10粒400kcal)⇒ ダイエットクッキー(7枚150kcal程度)
● バニラアイス(1個216kcal) ⇒ カロリーコントロールアイス(1個80kcal)
● プリン(1個126kcal) ⇒ こんにゃくゼリー(1個26kcal)
※ダイエットサイトあすけん調べ
代謝を上げて痩せるには「必要な栄養素をしっかり摂る」「噛む」「胃腸の働きを活発にする」「筋力を増やす」などカラダを内側から動かすことが大切です。低カロリー食品・健康食品・サプリメントなどを使用する前に、まずは食事内容を整えましょう。
そして、毎日の生活リズムや食生活を見直しながら、うまく低カロリー商品と付き合っていきたいですね。
⇒栄養士が解説!バランスの良い食事にする方法
【参考・参照】
渡邊建彦 他,ヒスタミン研究 ―最近の話題―,日薬理誌,108,1996年,pp.128-131
〈https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj1944/108/3/108_3_128/_pdf〉(最終閲覧日:2017/7/4)
【執筆者】
コントラクトフードサービス大手(株)グリーンハウスに入社、社員食堂のメニュー提案や栄養指導業務を経て、2009年「あすけん」に参加。アドバイス作成やサービス開発に携わる傍ら、年間150件以上の栄養指導やプロアスリート選手の食事サポート、セミナーなどを実施。現在はフリーランスに転向し、幅広く活躍。
管理栄養士
衞藤敬子