乳腺炎予防にNGな食べ物ってあるの?授乳中の食事のポイント
授乳中の方は「〇〇は母乳に良くないよ」「〇〇を食べたら詰まるよ」など、母乳と食べ物に関する話を耳にした方も多いのではないでしょうか。なんとなく避けている方もいるかもしれませんが、これって本当なのでしょうか?今回は乳腺炎予防にまつわる知識や、授乳中の方の食事のポイントについて解説します。
「乳腺炎に悪い食べ物」ってあるの?
ケーキやバターなどの脂肪分のあるもの、餅や赤飯などもち米を使ったもの、揚げ物やファストフードなどの油っこい食べ物は「乳腺炎になる」と聞いたことがある方も多いかと思います。
でもこれは、実は誤り。食べ物が乳腺炎の原因となる根拠はなく、乳腺炎予防のために食事制限は勧められないとされています。(※1)
そもそも、乳腺炎の原因って?
そもそも乳腺炎の原因は、乳汁が滞ってしまうことにあります。
誘因としては、
・授乳回数が少ない
・授乳間隔を空けてしまう
・赤ちゃんが乳汁を飲み切れない
・乳汁の過剰分泌
・乳房の圧迫(きつい下着など)
・母親のストレスや疲労
などがあります。
これらにより乳汁が滞ることで炎症を起こし、乳房のしこり、痛み、腫れ、熱を持つなどの症状、ときに感染を引き起こし発熱などの症状を伴うこともあります。
原因や誘因を見てわかるように、乳腺炎の予防は食べ物ではなく、赤ちゃんにしっかりと乳汁を飲んでもらうことが大切です。また「乳腺炎かも?」と思った際は、早めに母乳外来のある産科や助産院などに相談しましょう。
授乳中の食事のポイント
乳腺炎の原因にならないとはいえ、油っこい食べ物やカロリーの高いものの食べすぎは食事のバランスが乱れやすいものです。栄養バランスに気をつけたい授乳中は、楽しみのひとつとしてほどほどに取り入れると良いでしょう。
授乳中に十分に摂りたい栄養素はエネルギーのほか、タンパク質、カルシウム、鉄などがあります。
【栄養補給に役立つ食べ物の例】
タンパク質 | 卵、納豆、豆腐、牛乳、ヨーグルト、チーズ、魚類、肉類 |
カルシウム | 牛乳、ヨーグルト、チーズ、小松菜、豆腐、納豆 |
鉄 | 牛肉、いわし、かつお、あさり、納豆、豆腐、小松菜、ほうれん草 |
また赤ちゃんに必要な必須脂肪酸は食事から補う必要があるため、脂質を極端に控えないようにしましょう。
青魚(さば、いわし、さんま、あじなど)に含まれるオメガ3系脂肪酸の摂取が推奨されているため、意識して取り入れたいものです。手軽にとれる、水煮缶詰や冷凍の魚切り身、惣菜や弁当などを利用すると良いでしょう。
母乳と食べ物の話は昔から言われることが多いため、耳にする機会も多いかもしれません。気にしすぎず、ストレスのないよう過ごしてくださいね。
【参考・参照】
一般社団法人日本助産学会 乳腺炎ケアガイドライン2020<https://www.midwife.or.jp/user/media/midwife/page/guilde-line/tab01/nyusenen_guideline_2020_2.pdf>(最終閲覧日:2022/6/30)
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
管理栄養士
広田 千尋