大豆|豆
日本の食卓になじみ深い「豆腐」「味噌」「おから」「納豆」などの大豆食品。これらは「畑のお肉」と呼ばれる大豆を加工して作られたものです。そもそも大豆には、良質のタンパク質やカルシウムなどのミネラル、その他の栄養素がバランスよく含まれています。
大豆に含まれる成分は、血中コレステロールを低下させる働きのある大豆タンパク質や、骨の健康を維持する大豆イソフラボン、ビフィズス菌を増やして腸内環境の改善に役立つ大豆オリゴ糖など、多くが特定保健用食品にも認められています。実は、美肌やダイエットなどにパワーを発揮する“キレイの素”がたくさん詰まっているんです。
栄養成分・効果
大豆タンパク質
大豆タンパク質は、体内でコレステロールを吸着して体外への排泄を助けたり、コレステロールからつくられる胆汁酸の排泄を促したりすることにより、血清コレステロールを下げる働きがあります。(※1) コレステロールの摂りすぎは動脈硬化を引き起こすので原因となるので、コレステロールが高めの食べ物を毎日たくさん食べすぎないように注意が必要です。
大豆オリゴ糖
オリゴ糖はビフィズス菌のエサとなってビフィズス菌を増やし、腸内環境の改善によって便秘改善の効果があると言われています。大豆オリゴ糖も特定保健用食品で「おなかの調子を整える」食品の関与成分として認められています。(※1)
イソフラボン
大豆イソフラボンは骨からカルシウムが溶けだす作用に関係しているため、骨の健康維持に役立つとされています。(※1)また、女性ホルモンのエストロゲンと同様の働きがあると言われており、ホットフラッシュなどの更年期症状への効果が期待され、様々な研究が行われています。
⇒注目成分!イソフラボンとは?
サポニン
大豆サポニンはポリフェノールの一種で、広く食品に使われている食品添加物でもあります。ポリフェノールは、活性酸素を取り除いて酸化の働きを防ぐ抗酸化作用があることが知られています。(※2)
活性酸素はたくさん発生すると過酸化脂質を作り出し血管を傷つけるなど悪い影響があるため、抗酸化作用があるポリフェノールの大豆サポニンやカテキンを含む食品や、緑黄色野菜や鮭などの持つ色の素であるカロテノイドを含む食品を、普段から食事にとり入れると良いでしょう。
レシチン
レシチンは、私たちのカラダの細胞をつくる主な成分であるリン脂質の一種です。食物に含まれているものでは、大豆レシチンや卵黄レシチンが知られています。レシチンなどのリン脂質が不足すると、神経細胞も含め細胞の正常な働きを維持できなくなったり、血管にコレステロールがたまりやすくなるなどの恐れがあるとされます。(※3)
「大豆は消化が悪い」と言われますが、柔らかく煮ることで栄養成分を吸収しやすくなります。豆腐や豆乳は、大豆が加工されるので吸収率が良くなったり、味噌・醤油・納豆は微生物のチカラにより大豆が発酵し、風味と栄養を生みだすだけでなく、消化しやすくなります。これらはまさに日本が産みだした健康食品ですね。
大豆のパワーを見直して、大豆食品を積極的にとり入れましょう。
【参考・参照】
※1 公益財団法人日本健康・栄養食品協会 〔トクホ〕ご案内2019年版 消費者庁許可 特定保健用食品 (最終閲覧日 2021年5月10日)
※2 厚生労働省 e-ヘルスネット 抗酸化物質 <https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html> (最終閲覧日 2021年5月10日)
※3 厚生労働省 e-ヘルスネット リン脂質 <https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-039.html> (最終閲覧日 2021年5月10日)
【執筆者】
化粧品ブランドに14年間勤務後、からだの内側からも美容や健康をサポートしたいという思いから栄養士の資格を取得。現在はあすけん栄養士としてアドバイス作成やコラム執筆、オンライン栄養カウンセリングを担当。
栄養士
多田 綾子