甘酒|嗜好飲料

お正月などに飲む「甘酒」は、日本の伝統的な甘味飲料です。冬に飲むイメージがありますが、一年中楽しめる飲み物で、江戸時代では夏の飲み物として人気だったと言われています。今回は甘酒の種類と栄養、おいしい飲み方についてあすけん栄養士がご紹介します。

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甘酒の種類

甘酒には米麹と酒粕を用いた2種類の製造法があります。

麹甘酒(米麹の甘酒)

米麹は、蒸した米に麹菌を入れて作られており、米に含まれるでんぷんが麹菌の酵素により糖化され、これが米麹の甘味となっています。この米麹を加水・保温し甘酒が作られているので、米本来の甘さを楽しめます。また、アルコール分も含んでいないため、子供や妊婦も安心して飲むことができます。

酒粕甘酒

酒粕は日本酒などの作るときにでる副産物で、ビタミンB1・B2や葉酸、食物繊維が含まれています。その酒粕にお湯と砂糖を入れたものが酒麹甘酒になります。酒粕の香りとコクが特徴です。原料の酒粕には、100gあたり8.2gのアルコールが含まれます。甘酒の製造過程で加熱されることにより、酒粕のアルコールは飛んでいると考えられますが、甘酒製品の成分表示を確認したり、車の運転時には飲まないなど注意しましょう。

甘酒の栄養成分と効果

ここでは、日本食品標準成分表に記載されている甘酒(麹甘酒)の栄養成分を見てみましょう。 

炭水化物(ぶどう糖)

炭水化物に含まれる糖質は消化分解を通してぶどう糖になり、このぶどう糖が活動するためのエネルギー源となっています。ぶどう糖は、脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質で、私たちにとって重要な栄養素です。甘酒に含まれる炭水化物は、でんぷんとぶどう糖が主な成分となっています。ぶどう糖は吸収が早いので、素早くエネルギーを補給をしたいときに向いています。

たんぱく質

甘酒には100g中に1.7gのたんぱく質が含まれています。たんぱく質は筋肉や内臓・皮膚や髪などカラダのさまざまな部分をつくっている栄養素です。血液の成分やホルモン・免疫の抗体・遺伝子をつくる材料にもなり、生命を維持するために重要な働きをします。また甘酒にはたんぱく質を合成するために必要な必須アミノ酸がすべて含まれています。

食物繊維

甘酒には100g中0.4gの食物繊維が含まれています。食物繊維は、便の量を増やしたり、腸内環境を整えたりする働きがあります。また、脂質や糖・ナトリウムなどを吸着してカラダの外に排出する働きがあるため、生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できます。

ほかにも甘酒には100g中ビタミンB2が0.03mg、ナイアシンが0.6mg、ビタミンB6が0.02mg、葉酸が8㎍など、さまざまな栄養が含まれています。

甘酒のおいしい食べ方

甘酒スムージー

甘酒にお好きな果物や豆乳を入れ、ミキサーなどで混ぜ合わせ完成です。甘酒が苦手な方も飲みやすくなります。また、アミノ酸やぶどう糖も含まれているので、運動前後にもおすすめです。

甘酒のポタージュ

玉ねぎにんじんなどのお好きな野菜をペーストにしたものに、甘酒や牛乳・豆乳を加えたものです。砂糖を使わず、甘酒や野菜の甘さを楽しむことができます。もちろん普段作っているスープなどに甘酒をプラスするだけでもおいしく食べることができます。

 

日本の伝統的な発酵飲料である甘酒は、やさしい甘味を味わえるだけでなく、さまざまな機能性が期待されています。腸内細菌の餌となるオリゴ糖をはじめ、300以上の成分を含み、疲労、便通、肌などに対してもよい効果をもたらす可能性があるとも言われています。(※1)

コップ1杯(150g)で114kcalなので、間食などにもぴったりですね。飲み過ぎには気をつけながら、楽しんでみてください。

 

▼カロリー計算▼
甘酒のカロリー・栄養価はこちら

〈参考・参照〉
食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂) 増補2023年)〈https://fooddb.mext.go.jp/〉(最終閲覧日2024/0/16)
農林水産省 にっぽん伝統食図鑑 飲料〈https://traditional-foods.maff.go.jp/bunrui/inryou〉(最終閲覧日 2024/10/16)
aff 2018年12月号 特集2甘酒〈https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1812/pdf/1812_all.pdf〉(最終閲覧日2024/10/16)
※1 Ingredients, Functionality, and Safety of the Japanese Traditional Sweet Drink Amazake (日本の伝統的な甘味飲料「甘酒」の成分、機能性、安全性)「Journal of Fungi」〈https://www.mdpi.com/2309-608X/7/6/469〉

 

本記事は、2018年4月30日に公開された記事を再編集しました。(2024年11月30日)

【執筆者】
大学で栄養学を学び栄養士の資格を取得。子どもを産み、自身の体型や食事が子どもに与える影響から、食事の重要性を再確認し、食を通じて多くの人の健康やダイエットのサポートしたいと考え、現在はあすけんコラム執筆の他、栄養価計算やメニューデータの整備などを行う。

井﨑 夏紀

栄養士
井﨑 夏紀

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