男性より病気のリスクあり!女性の健康と飲酒の関係

この時期になると、 忘年会などでお酒を飲む機会が増える女性も多いのでは?お酒はコミュニケーションを円滑にするツールにもなりますが、女性のカラダは男性よりもアルコールの影響を受けやすいことが知られています。女性がお酒を飲むことで起こり得る3つのリスクについて解説します。
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女性のカラダがもともとお酒に弱い理由

体内の水分量を表す水分率は、男性で55~65%、女性は45~60%と女性の方が少なめです。 この体水分率が少ないとお酒を飲んだときに血液中のアルコール濃度が高くなってしまいます。飲酒量が同じでも、血液中のアルコール濃度は女性の方が高くなりやすいということになります。

また、女性は男性よりも肝臓自体が小さいため、男性よりアルコール処理能力が弱いということも分かっています。これらの要因によって、女性は急性アルコール中毒や肝硬変を引き起こすリスクが高くなる傾向があります。(※1)

お酒の飲み過ぎが女性にもたらす3つのリスク

1.乳がんの発症リスクが上がる

乳がんになる日本人女性は年々増加していて、2012年には年間6万人以上が乳がんと診断されています。欧米型の食生活・太り過ぎ・出産数の減少などが、近年の乳がん患者数の増加の主な原因とされていますが、アルコールの摂り過ぎも乳がんを発生させる原因のひとつです。
さらに、飲酒量と比例して乳がんの発生率が高くなることは確実とされており、注意が必要です。(※2)(※3)
女性は特に注意!お酒の適量ってどのくらい?

2.骨粗鬆症になるリスクが上がる

骨の代謝バランスが崩れ、骨折しやすくなった状態を骨粗鬆症といいます。多量の飲酒は、骨を作る骨芽細胞の活性を抑え、カルシウムを吸収する消化器官の働きを低下させてしまいます。アルコールを摂り過ぎる状態が続くと、骨密度の減少が加速して骨粗鬆症に陥りやすくなります。(※1)(※3)

3.赤ちゃんの健康を害する

妊娠中の女性が飲酒をすると、お腹の赤ちゃんに悪い影響を与えます。胎児性アルコール症候群(FAS)になると、生まれてくる赤ちゃんの体重減少・脳の障害などの症状がみられるケースがあります。赤ちゃんを守るためにも、妊娠中の飲酒は控えるのがベストです。
また、母乳での育児期間の飲酒も要注意。というのは、飲んだお酒が赤ちゃんに移行してしまい、悪影響を及ぼすからです。授乳中は極力お酒を控えるようにしましょう。
知っておこう!妊娠中・授乳中にとり入れても安心な飲み物

 

近年では、アルコール依存症の女性が増加しています。主な原因のひとつにストレスが挙げられますが、お酒でストレス解消をするのではなく、趣味や打ち込めるスポーツなど、別のストレス解消法を探すことが大切です。
お酒は適量をカシコク楽しむようにしたいものですね。

 

【参考】
(※1)e-ヘルスネット
〈https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-04-003.html〉(最終閲覧日2016/11/03)
(※2) 全国がん罹患モニタリング集計 国立がん研究センター がん対策情報センター 2016年3月 76ページ
〈http://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/mcij2012_report.pdf〉 (最終閲覧日2016/11/03)
(※3)乳房再建ナビ
〈http://nyubo-saiken.com/cancer/〉(最終閲覧日2016/11/03)
(※4)e-ヘルスネット 骨粗鬆症
〈https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-043.html〉(最終閲覧日2016/11/03)
(※5)e-ヘルスネット 飲酒のガイドライン
〈https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-003.html〉(最終閲覧日2016/11/03)

【執筆者】
コントラクトフードサービス大手(株)グリーンハウスに入社、社員食堂のメニュー提案や栄養指導業務を経て、2009年「あすけん」に参加。アドバイス作成やサービス開発に携わる傍ら、年間150件以上の栄養指導やプロアスリート選手の食事サポート、セミナーなどを実施。現在はフリーランスに転向し、幅広く活躍。

衞藤敬子

管理栄養士
衞藤敬子

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