血圧を下げたい方必読!食事と生活習慣のポイント
血圧を下げるために「減塩」というのはぼんやりとイメージができるかもしれませんが、具体的にはどのような食事を心がけると良いのでしょうか?また「味が薄いと満足できないのでは?」と、減塩に対して消極的な方もいるかもしれません。今回は血圧を下げるために知っておきたいポイントや、減塩のコツについてあすけん栄養士が解説します。
なぜ減塩が必要なの?
血圧が気になる方がまず取り組みたい「減塩」が必要な理由を知っておきましょう。
なぜ減塩が大切かというと、食塩に含まれるナトリウムの性質に理由があります。
味の濃いものを食べたとき、喉が渇いた経験をしたことはありませんか?ナトリウムは体液の中で一定の濃度に保たれているため、食塩を摂りすぎると、これを薄めようとして水分をたくさんとり込もうとしてしまいます。
結果、血液の量が増え、増えた血液を全身に巡らせるため血管の壁に圧力がかかってしまい、血圧が高くなってしまいます。これが食塩の摂りすぎにより血圧が高くなる仕組みです。
日本人の高血圧の原因の多くは食塩の摂りすぎといわれています。血圧が気になる方は、まず減塩から取り組んでみましょう。
血圧を下げる食事と生活習慣のポイント
血圧が高くなる理由は、食塩の摂りすぎ以外にも、食事、運動不足、肥満、加齢、タバコなどが知られています。加齢は避けられませんが、ほかの理由は遠ざけることができます。減塩を含め、血圧を下げるために取り組みたいポイントを知っておきましょう。
まずは「減塩」が大切
先ほどお伝えした通り、血圧が気になる方はまず減塩から取り組みましょう。
減塩というと「薄味でおいしくないのでは?」と思うかもしれません。薄味を心がけることももちろん大切ではありますが、減塩の初めの一歩として、味の濃いものを食べる量や回数を減らす方法もあります。
【食塩の摂りすぎに繋がりやすい食品の一例】
・みそ汁、スープなどの汁物
・梅干し、たくあん、キムチなどの漬物
・インスタントラーメン、カップラーメンなどの麺類
・ちくわ、かまぼこ、ベーコン、ハムなどの加工品
ほかにも、減塩できる方法はたくさんあります。以下のコラムを参考にし、自分に合った方法を見つけてみましょう。
⇒外食やコンビニでも減塩したい!簡単に実践できるメニュー別お助け法
⇒減塩したい人必見!塩分過剰に繋がりやすい食品ランキング
⇒減塩生活を始めよう!知っておきたい5つのコツ
血圧を下げる「カリウム」を摂る
カリウムは余分なナトリウムを排出し、血圧を下げる働きがあります。血圧が気になる方は、不足することなく取り入れたい栄養素です。
カリウムは野菜、きのこ類、海藻類、芋類、果物などに主に含まれます。野菜たっぷりの食事を心がけましょう。
※CKD(慢性腎臓病)などで、主治医からカリウムの摂取量を制限されている方は主治医の指示に従ってください。
食塩の排出を助ける「食物繊維」はたっぷりと
食物繊維を十分に摂ることで、ナトリウムを吸着して体外に排出してくれる働きが期待できます。
カリウムと同様、食物繊維は野菜、きのこ類、海藻類、芋類、果物などに主に含まれます。毎食取り入れるよう心がけましょう。
肥満の方はまずは「-3%」を目標に
肥満のある方は、まずは今の体重から3%減らすことを目標に取り組んでみましょう。3%とは、60kgの方なら1.8kg、70kgの方なら2.1kg、80kgの方なら2.4kgといった数値です。
2kg前後だとわずかな減量のように思えるかもしれませんが、3%の減量で血圧や血糖値などが改善することが知られています。
詳しくはこちらのコラムを参考にしてみてください。
⇒3%の減量で血糖コントロールが改善?減量を達成するための実践法を伝授!
毎日「+10分」歩こう
運動により血圧が改善することが知られています。毎日30分の運動が望ましいとされていますが、忙しい方はなかなか運動の時間が取れないという場合もあるでしょう。
ですが1日「+10分」歩くことでも、高血圧症などの生活習慣病発症のリスクを低下させることも知られています。まずは1日10分、通勤や買い物のついでに歩く時間を増やしてみましょう。
「お酒」はほどほどに
お酒は少量であれば一時的に血圧を下げることも知られていますが、長期間の飲酒は血圧を高くすることがわかっています。お酒はほどほどに楽しみ、休肝日を設けるようにしましょう。
適量とは、日本酒換算で1合ほどが目安です。ビールであれば500mL、チューハイ(7%)であれば350mLほどの量です。女性の場合はこれよりも少ない量が勧められています。
また休肝日の理想は週に2日です。お酒を飲まない曜日を決めておくと実行しやすいでしょう。
「タバコ」は百害あって一利なし
喫煙と高血圧は関連があるとされており、また虚血性心疾患、脳卒中などとの関連も明らかになっているため、禁煙が強く勧められます。
タバコは「百害あって一利なし」と言われるように、ほかにもさまざまなカラダへの影響が知られています。長年吸っていても、禁煙するのに遅すぎることはありません。場合によっては禁煙外来なども検討し、禁煙に取り組みましょう。
最近では「血圧が高めの方に」などという健康食品も見かけますが、食品は薬ではないためあくまで補助的に活用したいものです。生活習慣の改善でまず取り組めそうなところがないか、自身の習慣を振り返ってみましょう。
【参考・参照】
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
一般社団法人日本肥満学会 肥満症診療ガイドライン2016<https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/2/107_262/_pdf/-char/ja>(最終閲覧日:2022/4/26)
厚生労働省 健康日本21(アルコール)<https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5f.html>(最終閲覧日:2022/4/26)
日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019<https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf>(最終閲覧日:2022/4/26)
厚生労働省 アクティブガイド -健康づくりのための身体活動指針-<https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpr1.pdf>(最終閲覧日:2022/4/26)
【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
管理栄養士
広田 千尋
- ダイエットの知識
- 持病の対策(あすけんBLUEサークル)
- 持病の対策コラム
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