リンパ浮腫とむくみのケア ~100歳まで元気に歩く!~
2023年、第一回目のあすけんBLUEサークルコラムは、JR東京総合病院 リンパ外科・再建外科 原 尚子 先生(写真左) 三原 誠 先生(写真右)にご執筆いただきました!
原先生と三原先生はリンパ浮腫の治療を専門とされています。リンパ浮腫とはリンパの流れが滞ることで起こるむくみの一種です。原因は様々ですが体重のコントロールも重要な役割を担っており、リンパ浮腫患者様の予後の改善のために積極的にあすけんの活用をすすめてくださっています。
・JR東京総合病院 リンパ外科・再建外科
:https://www.jreast.co.jp/hospital/consultation/details/consultation.aspx?cd=002006027
・むくみゼミナール
:https://www.lymphedema.online/
※2022年11月に、両先生ご主催で医療従事者向けに行われた「むくみゼミナール」のセミナーをあすけんもお手伝いしました。
<ご紹介>
原 尚子(はらひさこ) 先生
九州大学医学部を卒業後、東京大学形成外科・済生会川口総合病院 リンパ外科・再建外科での勤務を経て、東京大学にて医学博士号を取得。現在はJR東京総合病院 リンパ外科・再建外科にて年間400肢以上のリンパ浮腫手術を行っています。手術以外の治療法にも詳しく、女性医師ならではの視点で、リンパ浮腫にお困りの患者様をサポートされています。
三原 誠 (みはらまこと)先生
福岡大学医学部卒業後、虎の門病院外科レジデント・帝京大学形成外科・東京大学形成外科・ハーバード大学移植外科・ローマ大学での勤務、研修を経て、現在はJR東京総合病院・ベテル南新宿診療所・むくみクリニック(旧lモミの木診療所)にて診療を行っています。これまで3000肢超の手術を行われているリンパ浮腫治療の第一人者のお一人です。
リンパ浮腫ってご存じですか?
「リンパ浮腫」は、主にがんの治療後に生じるむくみの一種です。乳がんの治療でわきの下のリンパ節を切除した場合や、子宮がん、卵巣がんの治療でおなかのリンパ節を切除した場合に起こることがあります。また、放射線治療や抗がん剤の影響でリンパ浮腫になるひともいます。リンパ浮腫の治療は、圧迫療法といって医療用のストッキング、直圧スリーブをつけることが一般的です。多くの方は、それだけずいぶん症状が軽くなります。圧迫療法、マッサージ、運動療法などを行ってもむくみが改善しない場合は、手術を行うこともあります。リンパ管静脈吻合術という手術は、局所麻酔で行うことができ、日帰りでも可能な手術です。
むくみと体重コントロール
実はリンパ浮腫以外にもむくみの原因はいろいろあり、心臓、腎臓、肝臓の異常、ホルモンバランスの異常、静脈の異常、飲んでいるお薬の影響、加齢、運動不足、肥満などが考えられます。原因は検査しないとわからないことが多く、乳がん、子宮がん、卵巣がんなどの治療後で、腕や足がむくんできたと感じた場合は、かかりつけ医に相談することが大切です。
検査をしても異常が見つからなければ、リンパ浮腫の可能性が高いですので「リンパ浮腫外来」を探して受診してみるといいでしょう。最近では、エコー検査を使ってリンパ浮腫の診断ができる医療機関もあり、痛みのない検査ですのでおすすめです。(JR東京総合病院や、むくみクリニックでも実施しています)
リンパ浮腫でも、それ以外のむくみでも一緒なのですが、症状をよくするために体重のコントロールが非常に大切です。体重が増えると、脂肪細胞が大きくなってリンパ管を押しつぶすため、リンパの流れが悪くなり、むくみが出やすくなります。体重が1~2kg変わるだけでも、むくみ方はけっこう変わります。
一番近道!?健康的な生活習慣
体重コントロールするときは、3か月で10kg!のような短期集中ダイエットや、何か1つの食品だけを食べ続けるよう極端なダイエットではなく、医学的に正しい方法で痩せることが大切です。「バランスの良い食生活、定期的な運動習慣、十分な睡眠」と聞くと、なんとも面白くなく、目新しくもなく、「それができたら苦労しない!」という声が聞こえてきそうです。
でも、私たちもいろいろ試してみましたが、最後はやはり「バランスの良い食生活、定期的な運動習慣、十分な睡眠」にたどり着いてしまいます・・・。たくさんの医学的な研究がそれを裏付けしていますし、「あなたも痩せる!○○ダイエット」と魅力的でキャッチーなダイエットが毎年のように生み出されていますが、定着しているものはほとんどありません。
そうは言っても、何を食べれば健康的なのか、わからないひともいると思います。そんなときに「ダイエットアプリあすけん」が強い味方になります。
私たちの患者さんたちにもいつも使ってもらっていて、このアプリを使うことで、自然と体重が落ちていくようです。正確には「アプリを使い続けることができた人は」体重が落ちています。いろいろなコンテンツがあって、楽しみながらダイエットができるアプリですので、ぜひ使い続けてほしいです。
病気と治療と運動
がんの治療を乗り越えたひとの中には、安静にしておくことに慣れてしまい、外出や運動が少なくなっているひとも多く見かけます。一方で、さまざまな医学的研究から、1日7000~10000歩くらい歩いているひとが、一番元気に長生きできるということがわかっています。
1日に1時間から1時間半くらい外で歩くようにすると、これくらいの距離になります。
また、ちょっと息が上がるくらいの運動、汗をかくくらいの運動を定期的にしているひとの方が、がんになる可能性も、がんが再発する可能性も低くなります。WHOは、週150~300分の中等度の有酸素運動と、週2回以上のレジスタンス運動(筋トレ)を推奨しています。
一昔前と違い今は、心臓病のひと、腎臓病のひと、膝が痛いひと、腰が痛いひとなど、すべて運動することが効果的であるとされています。リンパ浮腫も、以前は足を挙げて安静にするようにと言われていましたが、今は治療の一つとして運動が行われるようになりました。フルマラソンを走るひともいます。リンパ浮腫の症状が一時的に強くなったとしても、きちんと治療すればよくなります(写真)。
もちろん、急な病気の場合は安静が必要なこともありますので、まずはかかりつけ医に相談してから、ぜひ運動をしてみてください。
あすけんを利用されているリンパ浮腫の患者様の声
私たちの患者さんからは、
・体重が増えてきたらあすけんを使って、目標体重まで減ったらお休みして、また体重が増えてきたら再開する。
・果物は体にいいと思ってたくさん食べていたけれど、カロリーも高いことがわかった。
・朝昼で思ったよりカロリーを摂っていない日もあり、そんな日は心置きなくおいしい夕食を食べている。
・足りていない栄養素を教えてくれて、クックパッドと連携しているので、食事の献立に役立つ。
などの声がありました。
中には、1日3食、365日、必ず正確な献立を入力しないといけないと思って、がんばりすぎて疲れてしまったという方もいらっしゃいました。たまにさぼってしまう日があってもいいし、完全に正確ではない似たお料理を入力してもいいし、がんばりすぎないで、目標達成まで長くあすけんアプリとおつきあいできるようにすることをアドバイスしたところ、無理のない範囲で続けられているようです。
しばらくお休みしていても、また入力を再開すると、未来さんが喜んで迎えてくれますよ。
あすけんで100歳まで歩ける体を目標に!
ちなみに、私たちは患者さんに何かを勧めるときは、できるだけ自分たちでも試してみるようにしていて、もちろんダイエットアプリあすけんも使っています。今後もより使いやすいアプリになるように、私たちもあすけんさんと一緒に相談中です。スポーツクラブに通ったり、ヨガやボクササイズをしてみたり、ランニングをしたり、身をもって習慣づけることで、患者さんにも実感のこもったお話ができます。
健康的な食生活、運動習慣で、ぜひ100歳まで元気に自分の足で歩ける体をみんなで作っていきましょう!
原先生・三原先生ありがとうございました。
糖尿病・腎臓病・脂質異常症・高血圧症をはじめとする疾患以外にリンパ浮腫の患者様にもあすけんをお役立ていただけていることを私たちはとてもうれしく思いました。
あすけんは自ら食事管理の方法を検索して見つけて使い始める方が多いのですが、先生方はそうではない方にも、無理なくその方の生活に寄り添って使用していただけるようにご提案くださっていることを知り、私たちも様々な背景を持つ方の食事管理に対して使いやすいアプリであり続けたいと思いました。
「バランスの良い食生活、定期的な運動習慣、十分な睡眠」のため、楽しくコツコツ継続していただけるあすけんになっていけるよう、これからも皆さんと一緒に頑張ります!貴重なお話ありがとうございました。
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