妊娠中に食の好みが変わったら?気をつけたいポイントと摂りたい栄養素
妊娠中に食の好みが変わって栄養素の偏りが気になることはありませんか?あすけんのユーザーアンケートによると約70%の方が妊娠中に食の好みが変わったと回答しています。今回は、妊娠中に嗜好が変わっても気をつけたい食事のポイントをご紹介します。
嗜好が変わっても妊娠中に気をつけたい6つのポイント
きちんとタンパク質を摂る
タンパク質は赤ちゃんのカラダをつくる大切な栄養素です。肉・魚・大豆製品・豆類などを中心に、そのときの体調に合った食材からタンパク質をしっかり摂りましょう。20代以上の女性のタンパク質の推奨量は50gで、妊娠中期は+5g、妊娠後期は+25gです。例えば、卵1個で6.1g、納豆1パックで6.6g、豆腐1パックで8.0gのタンパク質が補えます。
その他にも、茶碗蒸しや豆乳スープは、ほどよく水分を含み食べやすく温冷どちらでも楽しめるのでおすすめです。カニカマ・ちくわ・魚肉ソーセージは、間食代わりに手軽にタンパク質をプラスすることができます。塩分量に気をつけて食べやすいものを試してみましょう。
食品 | タンパク質 | 塩分 |
茶碗蒸し (1人前) | 13.3g | 1.3g |
豆乳スープ(1人前) | 5.3g | 1.6g |
カニカマ (1本) | 1.2g | 0.2g |
ちくわ (1本) | 3.1g | 0.5g |
魚肉ソーセージ(1本) | 9.8g | 1.8g |
※カロリー:食事管理アプリあすけん調べ
野菜から「葉酸」を、海藻・きのこから「食物繊維」を摂る
妊娠の影響で食事に偏りを感じる方は、野菜・海藻類・きのこをとり入れてみましょう。ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜は、妊娠前から妊娠初期にかけて摂りたい葉酸を豊富に含みます。海藻類やきのこは、妊娠中に起こりやすい便秘の改善に役立つとされる食物繊維が多く含まれます。ただし、海藻類には、妊娠中の過剰摂取はよくないとされるヨウ素が含まれるため摂り過ぎには気をつけましょう。
レバーの代わりに「鉄分」を含む食材を摂る
鉄分は、赤ちゃんに十分な酸素や栄養素を届けるために必要な栄養素の一つです。妊娠中に特に意識して食べるという方も多いとされています。一般的に鉄分=レバーというイメージがあると言われていますが、レバーやうなぎは、鉄分の他にビタミンAも多く含みます。ビタミンAの過剰摂取は、赤ちゃんの奇形につながる可能性があるので摂り過ぎに注意しましょう。鉄分を豊富に含む食材は、レバーの他に次のものがあげられます。
〈鉄分を含む食材〉
あさり・しじみ・がんもどき・納豆・小松菜
減塩の食事を意識する
妊娠中にスナック菓子やファストフードなど味の濃いものを食べる傾向にある方は、「減塩」を意識してみましょう。自炊ができる場合は、味付けを薄くしたり、減塩の調味料や加工食品を使うなど工夫してみましょう。
甘いお菓子は小さいものや低糖質のものを
チョコレートやアイスクリームなど妊娠中に甘いものが食べたくなるという方は、小さいサイズのものや砂糖・糖質がゼロのものを選んでみましょう。どうしても我慢できず毎日食べたことで、「妊娠中の体重曲線」よりも体重が増加傾向になったり、血糖値に影響がみられる場合は控えた方がよいでしょう。
不足しがちな栄養素、まずは食材から
妊娠中のサプリメントとして様々なものがありますが、自己判断でのサプリメントの利用はおすすめできません。サプリメントはあくまでも補助食品であり、医薬的な効果は期待できません。妊娠中だからといって一つの栄養素に注目しすぎず、いろいろな食材から栄養素をバランスよく食べることが大切です。嗜好の変化により食事のバランスが気になりサプリメントの利用を考えている方は、医師や看護師、管理栄養士に相談してみましょう。
妊娠中は食の好みが変わりやすい時期。つわりと重なって思うように食事が摂れないこともあるでしょう。そんなときは、あまり神経質にならず、できることを試したり、体調に合った食事を摂るようにしましょう。
【参考・参照】
厚生労働省 妊娠前からはじめよう!健やかなからだづくりと食生活BOOK〈https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/pdf/210331_ninshinmaekara_book2.pdf〉(最終閲覧日:2022/8/31)
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年〈https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf〉(最終閲覧日:2022/8/31)
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 ヨウ素〈https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail595.html#1〉(最終閲覧日:2022/8/31)
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報 ビタミンA〈https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail51lite.html〉(最終閲覧日:2022/8/31)
文部科学省 食品成分データベース〈https://fooddb.mext.go.jp/index.pl〉(最終閲覧日:2022/8/31)
カロリー:食事管理アプリあすけん調べ
【執筆者】
仕事に没頭しすぎたことで体調を崩したことをきっかけに、健康的なカラダが仕事の質を良くするという思いを胸に約6年勤めた会社を退社し、栄養士の資格を取得。その後、JICA青年海外協力隊として2年間、中米グアテマラで現地の栄養教育を経験。現在は、病院で食事・栄養管理に関わる仕事と子育てをしながら、あすけん栄養士としてコラムの執筆やオンライン栄養カウンセリングを担当。
栄養士
保延 弘美