腸活や生活習慣病対策に期待のレジスタントスターチとは?取り入れ方も紹介!
腸活や生活習慣病対策、またダイエットによいとして話題になっているレジスタントスターチをご存じですか?食物繊維と同様の働きがあるとされ、「冷やすと増える」という点でも注目を集めています。今回はレジスタントスターチの特徴や取り入れ方について、あすけん栄養士が解説します。
レジスタントスターチとは?
レジスタントスターチとは、小腸で消化・吸収されにくい「難消化性でんぷん」です。でんぷんではありますが、食物繊維と同様の働きをするとしてさまざまな働きが期待されています。
レジスタントスターチは、米などの穀類、じゃがいも、豆類などに含まれている成分です。小腸の消化酵素が働きにくいためエネルギーになりにくく、腸内で腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整える働きがあることがわかっています。
ほかにも、血糖値の上昇を抑えたり、血中コレステロール値や中性脂肪を下げたりする働きも期待されているなど、さまざまな機能が明らかになっています。
レジスタントスターチは冷やすことで増える性質がある
米や芋類に含まれる一部のレジスタントスターチは、冷やすことで増える性質があります。これはでんぷんが冷えて老化することで、消化酵素が働きにくくなるという仕組みによるものです。
たとえば宮城教育大学が行った研究では、炊き立てご飯のレジスタントスターチは100gあたり0.37gだったのに比べ、24時間冷蔵庫に入れたご飯では100gあたり0.68gと、約1.8倍もの量に増加していました。(※1)
冷やしたものを再加熱するとレジスタントスターチの量はどうなる?
冷やすことで増えたレジスタントスターチは、再加熱しても大きく減らないと考えられています。
同じく宮城教育大学が行った研究では、さつまいも100gあたりのレジスタントスターチは茹でた直後6.17g、24時間冷蔵7.32g、電子レンジでの再加熱7.16gとなっており、再加熱しても2%程度の減少であった結果となっています。(※2)
レジスタントスターチを摂るために、冷めたままのご飯や芋を食べる必要性は低いといえそうです。
レジスタントスターチの取り入れ方
レジスタントスターチを含む、米などの穀類や芋類などのいわゆる「糖質が多い食べ物」をバランスよく食生活に取り入れれば、意識せずともレジスタントスターチを取り入れられます。
よりレジスタントスターチを摂取したい場合は、一度冷やしてから食べてもよいでしょう。
米であれば、まとめて炊いておき、冷蔵したものを再加熱して食べるなどの工夫をすればレジスタントスターチの増加が期待できます。またランチでお弁当を持参したり、おにぎりを食べたりするのもよいですね。
ほかにも、さつまいもは「冷やし焼き芋」、じゃがいもならポテトサラダにするなどして、冷たいメニューを楽しむ方法もあります。
糖質が多いからと敬遠されがちな穀類や芋類ですが、お通じだけでなく血糖値やコレステロール値へのよい効果が期待されるなど、見逃せない働きがあります。
これらの食べ物は適度に取り入れると腹持ちもよくなり、間食を減らすのにも役立つので、結果的にダイエットによい効果も期待できます。穀類や芋類を減らしすぎかも?という方は、一度食べる量を見直してみてくださいね。
【参考・参照】
(※1)亀井 文, 佐藤 岳志,“炊飯時の加水量および米飯の保存温度と時間の違いによるレジスタントスターチ量の変化について”,宮城教育大学紀要,50,2016,165-170
(※2)亀井 文, 高橋 遥,“さつまいもの加熱調理直後、冷蔵保存及び再加熱によるレジスタントスターチ量の変化”,宮城教育大学紀要,53,2019,211-216
海老原清,“レジスタントスターチの栄養・生理機能”,日本調理科学会誌,Vol. 47,No. 1,2014,49~52
後藤 勝,“レジスタントスターチの開発”,日本家政学会誌,Vol. 65,No. 4,2014,197~202
【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
管理栄養士
広田 千尋