注目の食物繊維3つ!「難消化性デキストリン」「イヌリン」「サイリウム」って何?
食物繊維の一種である「難消化性デキストリン」「イヌリン」「サイリウム」。これらの名前は耳にしたことはあるけど、どのようなものなのかよく知らない…という方も少なくないはず。今回はこれらの特徴や働き、取り入れ方について解説します。
トクホの30%以上に利用!?「難消化性デキストリン」
難消化性デキストリンとは、小腸で消化されにくい水溶性食物繊維の一種です。主にとうもろこしのデンプンを加工して作られ、水に溶けやすい性質があります。
特定保健用食品(トクホ)の関与成分として用いられており、なんと30%以上もの製品に採用されているといわれています。
特定保健用食品では、保健用途として「血中中性脂肪が気になる方に適する」「血糖値の気になる方に適する」「おなかの調子を整える」と表示されることが許可されおり、脂肪や糖の吸収を抑える働きや、便の材料を増やしたり、腸内環境を整えたりする働きが期待されています。
特定保健用食品にはお茶、炭酸飲料、即席のみそ汁やスープ、ゼリーなどの食品に含まれているだけでなく、粉末のものを飲み物や食事にプラスするタイプの製品もあります。
腸内環境を整えるのに役立つ「イヌリン」
イヌリンはキクイモなどに含まれる水溶性食物繊維の一種です。腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整えるのを助けてくれます。腸内細菌の利用率は、難消化性デキストリンが50%であるのに対し、イヌリンは100%ともいわれています。(※1)
イヌリンは難消化性デキストリンとは違い、特定保健用食品ではなく機能性表示食品の関与成分として使われています。
機能性表示食品に表示できる機能性には、「おなかの調子を整える」「血中中性脂肪を下げる」「食後の血糖値の上昇をゆるやかにする」などがあります。製品の種類は、お茶などの飲料、サプリメント、また粉末状のものなどさまざまです。
水と合わせるとゼラチン状になる「サイリウム」
サイリウムとは、一般的にオオバコという植物の種皮のことを指します。このサイリウム由来の食物繊維は、特定保健用食品の関与成分として用いられています。
特定保健用食品には「取り過ぎたコレステロールの吸収を抑える」「お腹の調子を整える」などと表示され、コレステロールや便秘が気になる方に効果が期待されています。
また粉末のサイリウムは、水を含むとゼラチン状に膨れる性質があります。わらび餅やゼリーなどのスイーツ作りにも使うことができ、食物繊維を補給しながらもカロリーや糖質の量を抑えられるとされ、満腹感も生まれやすいのでダイエット中の方に注目されています。
ただし、とり過ぎにより栄養素の吸収を妨げてしまう恐れもあります。製品のパッケージに書かれた1日の摂取量の目安を確認するなどし、とり過ぎには注意しましょう。
期待したい効果はたくさん!でも基本は「食事のバランス」が大切
これらの食物繊維を使用したものだけでなく、特定保健用食品、機能性表示食品はさまざまな製品があり、健康やダイエットに期待したい効果はたくさんあります。でも「●●をとっているから大丈夫!」という過信はNGです。
これらの製品を利用する前に、自身の食生活に「野菜は不足していないか?」または「肉や脂をとり過ぎていないか?」などと振り返ってみることも必要です。健康食品はあくまで補助的に使い、まずは主食・主菜・副菜を揃えたバランスのよい食事を心がけましょう。
健康食品を取り入れる際は、どのような成分が入っているか?またその成分にはどのような働きがあるか?と一度チェックしてみるといいですよ。食事を基本にしながら、自分の目的に合わせて上手に取り入れましょう。
【参考・参照】
(※1)一般社団法人日本食物繊維学会 ルミナコイド素材のエネルギー評価の考え方とメチルセルロース、イヌリン、還元難消化性デキストリンならびに高架橋澱粉のエネルギー評価結果
【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
管理栄養士
広田 千尋