テイクアウトによる食中毒を防ごう!買う側でもできる対策

新型コロナウイルス感染症の影響で、飲食店のテイクアウトやデリバリー販売が増えてきました。なかなか外出しにくい状況でも、自宅でおいしい料理をいただけるのはありがたいですよね。

ですがテイクアウトやデリバリーは調理してから食べるまでの時間が長く、とくに気温の高い時期は食中毒のリスクが高まります。

飲食店側に向け、厚生労働省から食中毒対策に関する呼びかけ(※1)がされているところではありますが、買う側にできる対策はどのようなものがあるのでしょうか。

今回は買う側ができる食中毒対策について解説していきます。

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食中毒のリスクを高める理由3つ

食中毒菌が増殖していたとしても、においや見た目では判断ができません。変なにおいもしないし、傷んでないから大丈夫!というのは食中毒予防の観点では当てにしてはいけません。

目に見えない食中毒菌を予防するためには、食中毒のことを知ったうえでの対策が必要です。まずはテイクアウトが食中毒のリスクとなりやすい理由について、3つお伝えします。

1.作ってから食べるまでに時間が発生する

作り終えてから食べるまでの時間が長くなればなるほど、食中毒のリスクが高まります。食中毒菌は、増殖できる条件のもとでは、時間が経過するごとにどんどん増殖していきます。

飲食店での通常の食事であれば、出来立てをすぐに食べることが多いですよね。ですがテイクアウトだと、作られてから買うまでの時間と、買ってから食べるまでの時間が発生してしまいます。

まずは食中毒菌をつけない、作ったあとに長時間放置しないなどの飲食店側の対策が必要ですが、買う側もすぐに食べるなどの対策が必要です。

2.温かいものと冷たいものが一緒の容器に入る

温かいものと冷たいものが一緒に入っているテイクアウトメニューはNGです。

冷たいものの温度が上がってしまい、傷みやすくなってしまったり、食中毒菌が増殖しやすい温度帯(20~50℃)となったりしてしまいます。

温かいものと冷たいものを一緒の容器に入れるときは、温かいものはいったん冷ましてから入れるのが原則です。

例えば温かいご飯に刺身や生の魚介を載せた海鮮丼などのメニューは、テイクアウトでは絶対にNGなメニューです。

3.テイクアウトに向かないメニュー

半熟卵や生卵、レアなお肉のメニューはテイクアウトには向きません。中心部まで食材が加熱されておらず、生き残った食中毒菌が増殖してしまう可能性が考えられます。

飲食店側が知っておきたい問題ではありますが、買う側もそのようなメニューを選ばないようにするなどの知識・対策も必要です。

食中毒を予防するために買う側ができること

長時間の持ち歩きは避ける

長時間テイクアウト料理を持ち歩くことで、食中毒菌が増えやすい温度帯(約20~50℃)におかれてしまいます。とくに夏場は気温が高いため、料理が傷んでしまう原因にもなってしまいます。

長時間持ち歩くときは、保冷剤を準備しておき温度を低く保つようにしたり、すぐ食べられるように時間を考えて購入したりするなどの対策をしましょう。

室温に放置しない

食中毒菌が増えやすい温度帯を避けるため、買ってきたものは室温で放置せず、冷蔵庫で保管しましょう。

夏場の場合、クーラーが効いていれば大丈夫?などと思うかもしれません。ですが、クーラーを効かせても室温はせいぜい25℃前後。食中毒菌が増えやすい約20~50℃の温度帯に当てはまるため、やはり冷蔵庫が好ましいです。

買ってきて食べるまでに時間がある場合は、速やかに冷蔵庫に入れましょう。

十分に加熱したメニューを選ぶ

半熟卵や生卵、レアなお肉、生の魚介類などのテイクアウトに向かないメニューは避け、十分に加熱されているメニューを選びましょう。

食中毒菌はしっかりと加熱することでほとんどの菌が死滅するため、しっかりと火を通したメニューが安心です。

今後、飲食店へ衛生指導が行き届けば、さらに安心してテイクアウトメニューを楽しむことができるようになるかと思います。ですが、それでも「室温で放置しない」などの買う側の対策は続けないといけません。とくに抵抗力の弱い子どもや妊婦さん、高齢者の方などは注意が必要です。正しい知識を身に付け、自分や家族の健康を守りましょう。

 

【参考・参照】
(※1)厚生労働省 テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防<https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000641034.pdf>(最終閲覧日:2020/07/19)
食品安全委員会 役に立つ食中毒の知識<https://www.fsc.go.jp/monitor/moni_26/moni26-shiryo1-2-tokyo1.pdf>(最終閲覧日:2020/07/19)

【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。

広田 千尋

管理栄養士
広田 千尋

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