イライラや頭痛にさようなら!生理前の不調を改善する食生活とPMSについて

生理前はイライラしたり、頭痛や便秘に悩まされたりと、心やカラダに不調を感じる方も少なくないのではないでしょうか。
PMSとはPremenstrual Syndromeの略で、月経前症候群のことをいい、生理前3~10日前に起こり、生理時には消える不快な症状が過去3回の連続した月経周期で続き、日常生活に支障をきたす状態を指します。
今回はPMSについてと、生理前の不調を改善するのに役立つ食生活をあすけん栄養士が解説します。

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PMS(月経前症候群)の症状と原因

PMSの症状

日本では、生理のある女性の約70~80%が生理前に何らかの症状があるとされ、生活に支障があるほど強い症状のある女性の割合は5.4%程度と言われています。(※1)

<カラダの症状>
胸の張り・お腹の張り・便秘・頭痛・肩こり・むくみ・体重増加など
<心の症状>
イライラ・怒りやすい・無気力・集中力低下・気分の不安定など
<その他の症状>
疲れやすい・倦怠感・食欲不振・過食・不眠・過眠など

PMSの原因

原因ははっきりとわかっていませんが、女性ホルモンの分泌変動により、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが原因として考えられています。しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質は、ストレスなどの影響も受けるため、PMSには多くの要因が関わっているとされています。

生理前の不調改善に役立つ栄養素

マグネシウム

日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会による産婦人科診療ガイドライン(※1)では、マグネシウムとカルシウムの摂取が勧められています。
マグネシウムは、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温・血圧の調整に役立つ栄養素です。
<おすすめの食品>そば・ほうれん草ひじきバナナ・アーモンド・納豆あさりなど

カルシウム

カルシウムは、丈夫な骨を保つ働きだけではなく、筋肉の収縮、神経が脳と他の体の部分との間でメッセージをやり取りするのに必要とされています。
<おすすめの食品>牛乳チーズヨーグルト豆腐・ちりめんじゃこ・煮干し小松菜ほうれん草

ビタミンB6

ビタミンB6は、神経伝達物質の代謝を助けたり、ホルモン調節に関わったりする働きがあります。
ビタミンB6摂取がPMSに与える影響はまだはっきりとはしていませんが、気分のむら、いらいらし易さ、もの忘れ、お腹の張り、不安などのPMSの症状が緩和できることがいくつかの研究で示されています。(※2)
<おすすめの食品>まぐろ・カツオいわし・レバー・玄米・アボカドバナナ

トリプトファン

トリプトファンは、「幸せホルモン」とも言われるセロトニンの材料となります。セロトニンが低下すると、攻撃的になったり、不安、気分の落ち込みがみられたりなどの症状を引き起こすと言われています。トリプトファンの摂取で、PMSの重症型である月経前不快気分障害 (PMDD)に対して有効性がみられたという研究報告もあります。(※3)
トリプトファンは体内で合成できない必須アミノ酸のため、食べ物からの摂取が必要です。
<おすすめの食品>牛乳・チーズ・きなこ・大豆・豆腐・鶏むね肉・鶏ささみ・豚ヒレ肉

食物繊維

便秘予防には、便のかさを増やしてくれる食物繊維の摂取や、便をやわらかくしてくれる水分をしっかり摂ることが大切です。
また、食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑えてくれるため、生理前の体重が増えやすい時期は意識して摂ると良いでしょう
<おすすめの食品>海藻類・野菜・きのこ・果物・玄米

日常生活で心がけること

生理前の症状を少しでも改善するためには、1日3食を規則正しく食べることが大切です。欠食することで、脳のエネルギー不足になり、集中力・パフォーマンス低下に繋がってしまいます。朝に食欲がない時でも、ヨーグルトやバナナなど、食べられるものを口にしておきましょう。

また、カフェインやお酒も控えた方が良いとされています。(※1)生理前は、コーヒーや紅茶などのカフェインが含まれるものを減らしたり、お酒も適量を超えないようにしたりと、カラダを労わってあげてくださいね。

他にも、適度な運動やストレッチを行うことや、睡眠をしっかりと取ることなど、規則正しい生活を意識しましょう。就寝2~3時間前に入浴することで寝付きが良くなると言われているため、シャワーで済ませてしまうことが多い方は、生理前は入浴に切り替えてみて、ぐっすり眠れるように工夫してみましょう。

生理前と生理の時期と合わせると、月の3分の1~半分くらいは憂鬱な気持ちで過ごす方も少なくないでしょう。自分のカラダの声に耳を傾け、自分に合った対処法を身に付けることが大切です。憂鬱な時期を上手く乗り越え、充実した生活を送りましょう。

 

【参考・参照】
(※1)日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会 産婦人科診療ガイドライン-婦人外来編2017<https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/Gynecological-practice/Gynecological-practice.pdf>(最終閲覧日:2019/11/02)
(※2)厚生労働省 統合医療に係る情報発信等推進事業 「統合医療」情報発信サイト ビタミンB6<https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/08.html>(最終閲覧日:2019/11/02)
(※3)国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」に関する安全性・有効性情報 トリプトファン<https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail623.html>(最終閲覧日:2019/11/02)
厚生労働省研究班監修 女性の健康推進室ヘルスケアラボ 月経前症候群(PMS)<http://w-health.jp/monthly/pms/>(最終閲覧日:2019/11/02)
公共社団法人 日本産科婦人科学会 月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)<http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=13>(最終閲覧日:2019/11/02)

【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。

広田 千尋

管理栄養士
広田 千尋

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