続!食べ順ダイエット!カーボラストとは?
食べる順番を意識したダイエット「カーボラスト」。近年、2型糖尿病の食事方法として研究が進められています。今回は、食べ順ダイエットの一つとして、食生活にとり入れたいカーボラストの効果と実践のポイントをご紹介します。
カーボラストとは
カーボラストは、英語でCarbohydrate-last 。カーボ(carb)「炭水化物(糖質)」をラスト(last)「最後」に食べるという意味です。
空腹時に、ごはん・パン・麺類・お菓子など、糖質(炭水化物)を多く含むものを食べると、血糖値が急上昇し、それを抑えようとインスリンが大量に分泌されます。カーボラストは、糖質を最後に食べることで、食後の血糖値をゆるやかにさせるダイエット法です。
米ウェイル・コーネル医科大学の2型糖尿病患者を対象にした研究では、パンとジュースを最後に食べ、肉と野菜を先に食べ始めたグループは、パンとジュースを先に、肉と野菜を後に摂ったグループと、同時に摂ったグループと比較して、食後の血糖値の上昇が抑えられたという結果が発表されています。(※1)
カーボラストで得られる3つの効果
1. 脂肪の蓄積を抑える
カラダの中で使いきれなかった糖は、インスリンの働きで脂肪組織に運ばれ、体脂肪として蓄えられます。そのため、食後の血糖値を上げ過ぎないことは、脂肪の蓄積を抑えるために大切です。カーボラストは、食後の血糖値の上昇をゆるやかにするので、カラダに脂肪を蓄えにくくしてくれます。
2. 食べ過ぎを防ぐ
食後の血糖値が急上昇すると、上がった血糖値を下げようとインスリンが働きます。血糖値が急激に下がると、強い空腹を感じてしまい、次の食事を多く摂りやすくなり、結果的に太ってしまう可能性があります。そのため、カーボラストで血糖値の上昇を抑えることは、食べ過ぎを防ぐことにつながります。
3. 集中力をキープ
血糖値の乱高下は集中力を低下させたり、眠気やイライラを引き起こす原因となります。カーボラストのように、食べる順番を変えることで血糖値を安定させることは、集中力を維持し、仕事や勉強のパフォーマンスアップが期待できます。
⇒集中力をキープ!脳と血糖値の深い関係
カーボラストの効果を得るための2ステップ
Step1 最初に「主菜・副菜」を食べる
主菜では、タンパク質を多く含む肉・魚・大豆製品を摂りましょう。タンパク質は、インスリンの分泌を促すホルモン・インクレチンのひとつGLP-1の分泌を増やすことがわかっています(※1)。GLP-1には、食欲を抑える働きがあるとされている(※2)ことに加えて、胃の動きをゆるやかにする働きがあることがわかっている(※3)ので、腹持ちが良くなります。
副菜では、食物繊維が豊富な野菜や海藻・きのこ類を摂りましょう。食物繊維が、血糖値の上昇とインスリンの過剰な分泌を抑えてくれるので、カーボラスト効果をサポートしてくれます。
Step2 「最後」に「主食」を食べる
ご飯・パン・麺類など、主食となる糖質は最後に食べましょう。間食などを摂るときは、糖質のたくさん含まれたお菓子や菓子パンだけを選ぶのでなく、無糖ヨーグルトやナッツ類など、血糖値の上昇がゆるやかに働く低GI食品をはじめに食べるなど工夫するとよいです。
⇒おやつを食べるならいつ?おやつにベストな時間帯を解説
食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることで、ダイエット効果や集中力維持に役立つカーボラスト。「炭水化物を最後に食べる」ことを意識した食事スタイルを、あなたの食べ順ダイエットの一つにとり入れてみてはいかがでしょうか。
【参考・参照】
(※1) Alpana P Shukla 他, ”Carbohydrate-last meal pattern lowers postprandial glucose and insulin excursions in type 2 diabetes”,BMJ Open Diabetes Research & Care2017
〈http://drc.bmj.com/content/bmjdrc/5/1/e000440.full.pdf〉
(※2) 厚生労働省 e-ヘルスネット
〈https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-067.html〉(最終閲覧日:2018/6/10)
(※3) Hitoshi Kuwata 他, “Meal sequence and glucose excursion, gastric emptying and incretin secretion in type 2 diabetes: a randomised, controlled crossover, exploratory trial”, Diabetologia. 2016; 59: 453–461
〈https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4742500/〉
【執筆者】仕事に没頭しすぎたことで体調を崩したことをきっかけに、健康的なカラダが仕事の質を良くするという思いを胸に約6年勤めた会社を退社し、栄養士の資格を取得。
その後、JICA青年海外協力隊として2年間、中米グアテマラで現地の栄養教育を経験。
現在は、病院で食事・栄養管理に関わる仕事と子育てをしながら、あすけん栄養士としてコラムの執筆やオンライン栄養カウンセリングを担当。
栄養士
保延 弘美