止血のビタミン【ビタミンK】
ビタミンKは血液の凝固と骨の健康に欠かせないビタミンです。緑黄色野菜や発酵食品・動物性食品などに多く含まれ、骨や歯の健康維持のため、骨粗鬆症を予防したい方、授乳中の方には意識してとり入れていただきたい栄養素です。
ビタミンKの働き
ビタミンKの働きには主に以下のようなものがあります。
血液を凝固させる働き
ケガなどで出血した際、ビタミンKは体内の血液凝固に必要なタンパク質(フィブリン)を活性化させます。
止血する働き
ビタミンKは血液凝固因子が肝臓で生成されるのを助けます。ケガや内出血をした際に、この因子の働きにより出血が止まります。
骨の形成・骨を健康に保つ働き
腸から吸収したカルシウムを骨に取り組む際に必要なタンパク質を活性させます。同時に、骨からカルシウムの流出を防ぐことにより、骨の健康を保ちます。
ビタミンKの推奨摂取量
ビタミンKの推奨摂取量は、男女(18歳以上)ともに150μg/日です。(※1)
過剰摂取が続いた場合
天然に存在するビタミンKには、食品に含まれるビタミンK1と腸内細菌によって合成されるビタミンK2の2種類が存在します。ビタミンK1・K2は通常の食生活で過剰にとりすぎる心配はなく、大量にとり入れても危険性は報告されていません。ただし、抗血液凝固剤を服用している場合は、摂取量に注意が必要です。
不足が続いた場合
ビタミンKは、さまざまな食材に含まれているだけでなく、体内の腸内細菌からも合成されるため、通常の食生活で不足することはほとんどありません。しかし、抗生剤などを長年飲み続けることで、腸内細菌からのビタミンKの供給が減ることがあります。
不足が続くと、内出血・鼻血・血尿・月経過多など、血液の凝固に時間がかかり出血症状が生じてしまいます。さらに、慢性的に不足するとカルシウム流出が増えて骨がもろくなり、骨折や骨粗鬆症を引き起こします。
なお、新生児は腸内細菌が少ないため、ビタミンKの合成量は少なくなりますので、授乳中のママはしっかりと摂ることが必要です。
ビタミンKが多く含まれる食材・食事
ビタミンKが多く含まれる食材は以下の通りです。(※2)
ひきわり納豆(1パック50g) | 470μg |
味付け海苔(1袋(8切8枚入り)3g) | 20μg |
ひじき・乾燥(10g) | 58μg |
わかめ・乾燥(1g) | 16μg |
大根の葉 (50g) | 140μg |
ほうれん草お浸し (一人分60g) | 160μg |
卵(1個50g) | 6μg |
鶏肉もも(皮つき) | 29μg |
※特に記載のないものは、100gあたりの含有量を表示しています。
食品に含まれるビタミンK1は植物の葉緑体で合成されるため、緑黄色野菜などの色の濃い葉野菜や、海藻類などに多く含まれています。ビタミンK2は腸内細菌によって合成される他に、肉類・卵・乳製品などの動物性食品や、納豆などの発酵食品に多く含まれています。
ビタミンK摂取のポイント
ビタミンKは、脂溶性ビタミンで熱に安定な性質のため、油を使って調理すると体内での吸収率が高まります。また、伝統的な和食の献立「納豆に卵のトッピング」、「わかめのお味噌汁」、「ひじきの煮物」などには、ビタミンKが多く含まれているので、毎日の食生活に和食の惣菜をとり入れてみてください。
【参考・参照】
(※1)厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)〈https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html〉(最終閲覧日:2020/5/14)
(※2)文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)〈https://fooddb.mext.go.jp〉(最終閲覧日2022/4/26)