ダイエッターやアスリートは要注意!脱水を防ぐ水分の摂り方

水分を摂るタイミングや量を意識していますか?喉の渇きに気づく前に水分補給をしないと、気づかぬうちに脱水となり、体調を崩してしまうことがあります。厚生労働省の「健康のため水を飲もう」推進運動にもとづき、脱水になる仕組みと水分の摂り方を解説します。
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脱水が起こる仕組み

カラダから出ていく水分が増え、カラダに入る水分が減ると体内の水分が不足した状態が脱水です。水分の摂取不足・発汗・下痢・嘔吐などが脱水の主な原因になります。多くの場合、水分と一緒に塩分も失われているとされています。

水欠乏型脱水

わたしたちのカラダは60%が水分でできています。そのうち、1%~2%の水分が失われると、強い喉の渇きを感じます。体液から水分が減少して濃縮されると、脳が水分補給を促すサインを出すというわけです。このとき、水分を適切に補わないと体内の水分が不足する水欠乏型脱水になってしまいます。
元の体重から失われた水分の割合によって起こる症状は下記のとおりです。

失われた水分の割合 脱水症の兆候や症状
3% 唇の渇き・食欲不振
5% 頭痛・カラダのほてり
10% 筋肉のけいれん
20% 無尿・死に至る

特に、お年寄りはカラダの水分量が少なく、喉の渇きを感じにくいので注意が必要です。(※2)

ナトリウム欠乏型脱水

大量の発汗・下痢・嘔吐などでナトリウムが失われると、体液のバランスが崩れてナトリウム欠乏型脱水に陥ることがあります。(※1)(※2)

油断禁物!水分を摂るべきタイミング3つ

1.ダイエットをしているとき

ダイエットのため、食事制限や運動をしている人は、水分を積極的に摂る必要があります。 通常、食事から得ることができる水分は1日あたり約1ℓ。加えて、タンパク質・炭水化物・脂質を代謝する過程でできる水分(代謝水)が0.3ℓです。

食事制限をすると、食べ物から得られる水分と代謝水が減少し、供給されるはずの水分量が減ってしまいます。さらに、運動をすれば、発汗で水分が排出されることも考慮し、十分な水分補給を心がけましょう。

2.大量に体内の水分を失うとき

長時間運動をしているときや下痢・嘔吐がひどいときには、失った水分と電解質を補うことが大切です。水だけでは体液が薄まることもあるので、体調に合わせてココナッツウォーターメープルウォーター・スポーツ飲料・経口補水液などをとり入れるのもおすすめです。
栄養士が教える!運動の前後の食事の摂り方

3.利尿作用のある飲み物を飲んだとき

紅茶・コーヒー・緑茶などといったカフェインを多く含むものや、ビール・ワインなどアルコールを含む飲料には利尿作用があります。
例えば、ビールを10杯飲むと、11杯分の尿が排泄されるとされています。利尿作用がある飲み物を飲んだ後は、同量以上の水分を摂取するようにしてください。(※2)
人によって違う!カフェインの適量ってどのくらい?

どれだけ飲めばOK?毎日の水分補給のコツ

日本人は、水分摂取量が足りないといわれています。特に、体内の水分量が減りがちな起床時と就寝前に水をコップ1杯飲み、1日あたりの水分摂取量をコップ2杯分増やすようにしてみましょう。 また、日中の水分補給量の目安は、午前・午後にそれぞれ500mlのペットボトルを1本ずつ飲み切るくらいが適切です。でも、一度に補給するのはNGです。1時間あたり100mlほどをこまめに摂るようにしてくださいね。

 

健康を維持するために必要な水分ですが、摂り過ぎると腎臓に負担をかけたり、お腹を壊したりする可能性があるので注意しましょう。

 

【参考】
(※1)公益社団法人 日本薬学会 薬学用語解説 脱水
〈http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E8%84%B1%E6%B0%B4〉(最終閲覧日:2017/07/19)
(※2)健康のため水を飲もう講座 厚生労働省後援
〈http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000124313.pdf〉(最終閲覧日:2017/07/19)
厚生労働省 「健康のため水を飲もう」推進運動
〈http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/nomou/index.html〉(最終閲覧日:2017/07/19)
菱田明ら 「日本人の食事摂取基準2015年版」第一出版 (2015年 343ページ)

【執筆者】
コントラクトフードサービス大手(株)グリーンハウスに入社、社員食堂のメニュー提案や栄養指導業務を経て、2009年「あすけん」に参加。アドバイス作成やサービス開発に携わる傍ら、年間150件以上の栄養指導やプロアスリート選手の食事サポート、セミナーなどを実施。現在はフリーランスに転向し、幅広く活躍。

衞藤敬子

管理栄養士
衞藤敬子

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