どんなパワーを秘めている?雑穀の豆知識
雑穀とは、日本人が主食(主穀)以外に利用している穀物のことを指します。白米に混ぜて食べる雑穀ご飯など普段食べている食事にプラスするだけで、カロリーはほとんど変わらずに食物繊維やビタミン・ミネラルなどの栄養を豊富にとることができます。
そこで、栄養価の高い雑穀の種類とその効能についてご紹介します。
雑穀の種類とその効能
1.大麦
大麦は、穂の形状により二条大麦と六条大麦に分けられます。二条大麦はビールや焼酎の原料に、六条大麦は麦茶や大麦麺などの食用に加工されています。
不溶性と水溶性の食物繊維がバランスよく含まれており、その含有量は白米の約20倍!なかでも豊富なのが、水溶性食物繊維の「β-グルカン」です。β-グルカンは体内の水分を吸収しゼリー状になってゆっくり消化され、糖質の吸収をゆるやかにする働きがあります。その他、むくみや高血圧予防に効果的なカリウムやカルシウムが豊富です。
2.あわ
縄文時代より食べられてきた日本最古の穀物の一つ。表面の色素は、抗酸化力を持つポリフェノールです。エネルギーを燃やすために必要なビタミンB群や鉄分・マグネシウムが豊富で、くせがなく甘みがあり食べやすい雑穀です。
3.ひえ
あわと並んで日本最古の穀物と言われています。「冷え」に耐えることから名づけられたほど寒さに強く、寒冷地でも作られる救荒作物です。
食物繊維・鉄分・亜鉛・カリウムなどが多く、くせのない味わいですが、冷めるとパサパサに。ひえ単独ではアクが強いため、白米と混ぜて食べることをおすすめします。
4.きび
「ももたろう」の中に出てくるきびだんごの原料として良く知られています。表面の黄色い色素は、抗酸化力を持つポリフェノール。甘みがあり冷めてももちもちとした食感があるので、お弁当に向いています。脂質の代謝を促すビタミンB2が多く含まれているので、ダイエット中やオイリー肌で悩む人におすすめです。
5.黒米
黒い色は抗酸化力をもつ「アントシアニン」によるもの。体内で活性酸素が過剰に増えると、細胞や血管を傷つけ、動脈硬化の原因や老化の進行に関係があるといわれていますが、アントシアニンはこの活性酸素の働きを抑える働きがあります。
白米と一緒に炊くとアントシアニンの色素により赤飯のような色合いになります。
6.赤米
日本に稲作が伝わってきた時の米が赤米だといわれています。
食物繊維・マグネシウム・ビタミンB1が豊富。また、赤い色は「プロアントシアニジン」という色素で、活性酸素による肌の老化を防ぐため、美肌効果が期待されています。(※)
7.アマランサス
アンデスで古くから栽培されている穀物。「スーパーグレイン(驚異の雑穀)」とも呼ばれており、タンパク質や脂質・ミネラル・食物繊維がずば抜けて豊富です。
種皮が柔らかく精白せずに食べられるため、栄養を丸ごと摂ることができますが、独特の香りがあるので加減して使う必要があります。
8.キヌア
栄養価がとても高いため、アメリカのNASAが21世紀の主食になると発表し注目を集めたキヌア。低カロリーで、タンパク質・カルシウム・鉄分・食物繊維などの栄養素がギュッと詰まっています。低GI食品で腹持ちも良いため、サラダやスープに利用するとダイエット中の強い味方に。
いつもの白ご飯を雑穀に変えるだけで、代謝に欠かせないビタミンB群をはじめ、さまざまな栄養素を補給できます。さらに、噛む回数が増えて満腹感を得られやすいためダイエット効果も。自分のお気に入りの雑穀を見つけると、食事がもっと楽しくなりますよ。
⇒ごはんだけじゃない!栄養士おすすめの雑穀を使った痩せメニューはこちら
【参考・参照】
(※)有賀敏明他, “プロアントシアニジンの機能性解明と開発”, 日本農芸化学会誌 Vol.74 No.1, 2000年, pp.1-8
〈https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/74/1/74_1_1/_pdf〉(最終閲覧日:2017/8/24)
【執筆者】
コントラクトフードサービス大手(株)グリーンハウスに入社、社員食堂のメニュー提案や栄養指導業務を経て、2009年「あすけん」に参加。アドバイス作成やサービス開発に携わる傍ら、年間150件以上の栄養指導やプロアスリート選手の食事サポート、セミナーなどを実施。現在はフリーランスに転向し、幅広く活躍。
管理栄養士
衞藤敬子
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