にんじんだけじゃない!?ビタミンAを適正に近づけるには?
日本人に不足しがちなビタミンAは、粘膜の健康維持や抗酸化作用に関わるため、毎日意識してとり入れたいもの。
ビタミンAといえば「にんじん」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、効率的に摂取量を増やすには、どのような工夫をすればよいのでしょうか。今回はビタミンAの豊富な食べ物と、増やすコツを紹介します。
ビタミンAを増やすコツ!豊富な食べ物とおすすめのとり入れ方
ビタミンAを増やすには、豊富な食べ物の中でも、身近な食べ物から増やしていくのがおすすめです。コツをとり入れやすい順に紹介します。
①色の濃い野菜・海藻類を増やす
色の濃い野菜や海藻類はビタミンAが豊富なうえ、毎日とり入れやすい食べ物です。
中でもにんじん、小松菜、ほうれん草は1年を通して手に入り、ビタミンAの含有量も優秀です。毎日意識してとり入れるほかに、まとめて下処理して冷凍保存しておくと、味噌汁や炒め物などにパパっと使えて便利です。
また、のりやわかめなど、手軽にプラスしやすい海藻類も増やしてみましょう。
【100gあたりのビタミンA(レチノール活性当量)含有量】
食品名 | 含有量 |
にんじん | 630μg |
ほうれん草 | 350μg |
小松菜 | 260μg |
ブロッコリー | 75μg |
焼きのり | 2,300μg |
ひじき(乾) | 360μg |
カットわかめ(乾) | 190μg |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
②卵・乳製品を毎日食べる習慣を作る
卵、チーズは手軽にとり入れやすいため、毎日食べる習慣をつけると、ビタミンAの摂取量を増やせます。卵は1日1個、チーズは1切れ(20g)程度を目安にするとよいでしょう。
また、油脂の中でもバターはビタミンAが豊富です。炒め物をする際に、バターを少量使うようにするのもよいでしょう。
【100gあたりのビタミンA(レチノール活性当量)含有量】
食品名 | 含有量 |
バター | 520μg |
チェダーチーズ | 330μg |
モッツァレラチーズ | 280μg |
プロセスチーズ | 250μg |
鶏卵(全卵) | 210μg |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
③魚介類の頻度を増やす
魚介類はビタミンAを含むものが多く、肉類に比べると含有量は高めの傾向があります。
魚を食べる回数を増やしたり、手軽にとり入れられるちりめんじゃこ(またはしらす干し)をプラスしたりするとよいでしょう。
【100gあたりのビタミンA(レチノール活性当量)含有量】
食品名 | 含有量 |
うなぎ | 2,400μg |
まぐろ(赤身) | 840μg |
いくら | 330μg |
ちりめんじゃこ | 240μg |
しらす干し | 190μg |
ししゃも | 120μg |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
④週1回程度、レバーに挑戦してみる
レバー(肝臓)は体内でビタミンAを貯蔵する場所のため、ビタミンAの含有量がずば抜けて優れています。週に1回程度とり入れると、ビタミンAはもちろん、女性に不足しがちな鉄の補給にも役立ちます。調理の手間がかかるため、お惣菜や焼き鳥などを利用してもOKです。
【100gあたりのビタミンA(レチノール活性当量)含有量】
食品名 | 含有量 |
レバー(鶏) | 14,000μg |
レバー(豚) | 13,000μg |
レバー(牛) | 1,100μg |
鶏手羽先 | 51μg |
鶏もも肉(皮つき) | 40μg |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
ビタミンAをとり入れる際の注意点
健康づくりに役立つビタミンAですが、過剰摂取には注意が必要です。特に動物性食品に含まれるビタミンAはレチノールといい、肝臓に過剰に蓄積すると、健康へ影響を与える恐れがあります。
先ほど紹介したレバーはビタミンAのよい補給源となりますが、週に何度も食べたり、大量に食べたりするのは過剰摂取につながりかねません。週に1回程度を目安にとり入れるとよいでしょう。
ただし、にんじんやほうれん草などの植物性食品に含まれるビタミンAは、過剰症を起こす恐れがないとされています。色の濃い野菜はビタミンA以外にも、カルシウムや鉄を含むため、安心して積極的にとり入れましょう。
カロテンの過剰摂取による「柑皮症」は一過性のもの
にんじんやかぼちゃ、みかんなどのカロテン(ビタミンAの前駆体)を多く摂った場合に、皮膚が黄色くなる「柑皮症(かんぴしょう)」になることがあります。しかしこれは一過性のものであり、摂取量を減らすことで改善するとされています。
ひとつの食べ物ばかりとるのではなく、バランスよく食べるように心がけましょう。
ビタミンAは脂溶性であるため、脂質と組み合わせることで効率よく摂取できます。そのほか、ビタミンAの特徴については下記コラムを参考にしてみてください。
【参考・参照】
厚生労働省 令和5年「国民健康・栄養調査」<https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45540.html>(最終閲覧日:2025/2/25)
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)<https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html>(最終閲覧日:2025/2/25)
食品安全委員会 ビタミンAの過剰摂取による影響<https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-vitamin-a.pdf>(最終閲覧日:2025/2/25)
藤井寺市医師会 柑皮症(かんぴしょう)<http://www.fujiidera-med.or.jp/mame/mame090626.htm>(最終閲覧日:2025/2/25)
【執筆者】
管理栄養士。病院、保健センター、保育園で幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在はフリーランス管理栄養士として、ライターやレシピ制作を中心に活動中。あすけんではコラム執筆などを担当している。HP:https://hirotachihiro.com/

管理栄養士
広田 千尋
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