飲酒ガイドラインとは?お酒を長く楽しみたい方に意識してほしいポイント

2024年2月、厚生労働省より「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が発表されました。アルコールによる健康への影響を防ぐために作られたガイドラインで、飲酒量の目安などが記載されています。今回はガイドラインの概要と、飲酒のポイントも紹介するので、お酒好きな方はぜひ一度チェックしてみてください。

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お酒の量ではなく「純アルコール量」で考えよう

ガイドラインには、純アルコール量に着目して、飲酒量を決めることが大切だと記載されています。1杯や2杯など、お酒の量だけで考えるのではなく、お酒によってアルコールの含まれる量が異なるため、純アルコール量で考えることが大切です。

下記で純アルコール量を計算できるので、自身がよく飲むお酒を計算してみましょう。

<お酒に含まれる純アルコール量の算出式>
摂取量(ml)× アルコール濃度(度数/100)× 0.8

例えば、アルコール度数5%のビールをジョッキ1杯(500ml)飲んだ場合の計算方法は下記のとおりです。

<例>
ビール500ml×0.05%×0.8=20g

最近では、アルコール飲料に含まれる純アルコール量が表示されるようになってきているため、パッケージをチェックしてみるのもよいでしょう。

純アルコールはどのくらいまで?

純アルコール量の目標は、あすけんの基準では、適正な1日の純アルコール量の目安は20g未満としています。

ガイドラインでは、1日あたりの純アルコール摂取量が「男性40g以上、女性20g以上」の人の割合を減らすことが目標として記載されています。「40gまでなら飲酒してよいの?」と思うかもしれませんが、これは間違いです。ガイドラインが示しているのは、個人が飲酒してよい量ではなく、この量を飲んでいる人を減らす、という目標の数字です。

個人の目標としては、純アルコール量で20g程度(日本酒1合程度)と覚えておきましょう。

あなたは大丈夫?飲酒の影響が大きい方は要注意

ガイドラインでは、飲酒の影響は個人差が大きいとしています。特に注意すべきはどのような方なのか、チェックしてみましょう。

飲酒すると顔が赤くなる方

飲酒すると顔が赤くなる方、動機や吐き気がする方は、アルコールを分解する酵素の働きが弱く、カラダへの影響が大きいとされています。特に日本人では41%ほどいるといわれているため、当てはまる方も多いのではないでしょうか。

お酒に慣れて飲めるようになっても、がんなどのリスクが高まる可能性が知られているため、特に注意しましょう。

女性

女性は男性に比べて、アルコールの影響を受けやすいことが知られています。これは、筋肉量が少なく体内の水分量が少ないことや、体格の違い、女性ホルモンの影響などが理由です。

そのため、女性は男性よりも少ない量がよいとされています。

高齢者

年齢を重ねるにつれ、体内の水分量が減るため、アルコールの影響が大きくなると考えられています。飲みすぎにより、認知症発症のリスクや、飲酒による転倒・骨折、筋肉量の減少などの影響が知られています。

飲酒による健康への影響

アルコールは血液を通して全身をめぐるため、飲みすぎによりさまざまな臓器に影響を与えます。肝臓への影響はよく知られていますが、先ほども伝えたとおり、がんや認知症、ほかにも高血圧のリスクが高まる可能性があります。

下記の表は、疾病別の発症リスクと飲酒量(純アルコール量)を示したものです。

飲酒ガイドライン

出典:厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン

上記の表によると、純アルコール量で0g以上の摂取でリスクが高まるとされている病気がいくつかあります。男性は 高血圧・胃がん・食道がん、女性は脳卒中(出血性)・高血圧です。1滴でもお酒を飲む習慣がある場合は、これらの病気のリスクとなり得ます

また男性は前立腺がん、女性は乳がんのリスクが高まるなど、飲酒による健康への影響はさまざまです。

ガイドラインを「守れない!」と思う方も知っておきたい、お酒との付き合い方

ここまで読んだ方の中には「1滴でもダメなんて」「純アルコール量20g(ビール1杯だけ)なんて、絶対に無理だ」と思う方もいるかもしれません。

もしそのような方でも、何かしらカラダへの気遣いができないか、探ってみませんか?きっちり量を守ることが難しくても、できることがあるはずです!

ガイドラインで示されているポイントをまとめたので、お酒との付き合い方のヒントにしてみてください。

食事をとりながら飲酒する

おつまみとセットでお酒を飲むようにしましょう。食べ物が胃の中にある状態だと、アルコールがゆっくりと吸収され、血中アルコール濃度が上がりにくくなります。

飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲む

水や炭酸水などのアルコールを含まない飲み物を一緒に飲むようにしましょう。アルコールがゆっくり分解、吸収されるようになります。

休肝日を作る

週に1~2日ほど、お酒を飲まない休肝日を作るようにしましょう。1週間の純アルコール量を減らすことができます。ノンアルコール飲料を楽しむなど、工夫してみてください。

ほかにもガイドラインには、大量飲酒や寝酒を避けることなど、さまざまなことが示されています。長く元気で過ごして、好きなものを楽しむためにも、今からできる取り組みをはじめることが大切です。お酒が好きな方こそ、付き合い方をぜひ見直してみましょう!

 

【参考・参照】
厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン<https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37908.html>(最終閲覧日:2024/4/5)

【執筆者】
管理栄養士。病院、保健センター、保育園で幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在はフリーランス管理栄養士として、ライターやレシピ制作を中心に活動中。あすけんではコラム執筆などを担当している。HP:https://hirotachihiro.com/

広田 千尋

管理栄養士
広田 千尋

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