ホルモンをつくる材料となる【コレステロール】
人間のカラダに存在する脂質は、大きく分けてコレステロールと中性脂肪に分類されます。コレステロールは、ホルモンや脂溶性ビタミンの吸収を助ける胆汁酸の材料となり、細胞を構成する成分のひとつです。糖質や脂肪酸を材料に主として肝臓で合成されます。
コレステロールの働きと種類
コレステロールの主な働きは以下の通りです。
- ホルモンを作る材料となる
- 胆汁酸を作る材料となる
- 細胞膜を作る材料となる
コレステロールの種類
コレステロールは脂なので、血液に溶けません。そのため体内を循環するときは水に溶ける「リポタンパク」という形で存在しています。 善玉と悪玉の違いは「リポタンパク」の比重の違いによるものです。
■LDLコレステロール
「悪玉コレステロール」と言われコレステロールを多く含む低比重リポタンパク質。肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ働きがあります。
■HDLコレステロール
「善玉コレステロール」と言われタンパク質を多く含む高比重リポタンパク質。コレステロールを肝臓に戻すお掃除役です。
悪玉コレステロール(LDL)はカラダにコレステロールをため、善玉コレステロール(HDL)はそれを回収しますが、運ばれるばかりで回収が追いつかないと余分なコレステロールがたまり、動脈硬化の原因になる場合があります。また、ふたつのバランス崩れて、血液中のコレステロールが増えすぎたのが、脂質異常症と呼ばれる状態です。
コレステロールが多く含まれる食材・食事
コレステロールは、鶏卵・魚卵・レバーなどの肝臓・肉の脂・バター・生クリーム等に多く含まれます。
卵黄(1個分20g) | 240mg |
牛タン | 97mg |
砂肝 | 200mg |
あん肝 | 560mg |
イクラ | 480mg |
たらこ | 350mg |
シュークリーム | 200mg |
ショートケーキ | 140mg |
カステラ | 160mg |
ラード | 100mg |
※特に記載がない場合は、素材100gあたりの含有量となります。
摂取のポイント
悪玉コレステロールを増やしすぎず、善玉コレステロールを増やす生活をすることが大切です。そのためのポイント6つご紹介します。
1.食物繊維の多い食事をする
食物繊維はコレステロールを吸着して対外に排出してくれる役割があります。
2.野菜・海藻・大豆製品・魚を積極的に食べる
野菜からとれるβ-カロテン・ビタミンC・ビタミンEなどのビタミン、大豆製品の植物性タンパク質、魚介類に含まれるタウリンはコレステロールを下げる働きがあります。そのほかには、ごまのリグナン、緑茶のカテキンにコレステロールを下げる作用があると言われています。
⇒知っておくべき!カテキンに期待できる効果
3.お酒は適量を守る
アルコールは少しの量を飲んでいる分には、HDL(善玉)を増やす効果があります。ただし、問題は飲みすぎること。 お酒は適量を守って長く楽しめるようにしましょう。
⇒適量なら飲んでもOK!お酒の適量ってどのくらい?
4.油の種類を選ぶ
サフラワー油、ひまわり油、コーン油に含まれるリノール酸は悪玉コレステロールを減少させますが、取りすぎはHDL(善玉)も減少させてしまします。
魚の脂であるEPA、DHAやしそ油、亜麻仁油に多く含まれるα-リノレン酸、オリーブ油のオレイン酸は悪玉(LDL)を減らし、善玉(HDL)を増やしてくれます。しかし油は高カロリーですのでとりすぎには気をつけましょう。
⇒油の種類で働きが違う!脂質の豆知識
5.たばこは禁煙、または節煙を心がける
たばこを吸うと、善玉(HDL)を下げてしまうことが明らかになっています。 まずは、禁煙(節煙)を決心してチャレンジしてみましょう!
6.適度な運動をする
1日の歩数が多い人ほど善玉(HDL)が高いという結果が得られています。 1度にハードな運度をするより、速足で歩くとか、階段を昇り降りするなど日常的に継続するものがおすすめです。 善玉(HDL)を増やすだけでなく肥満予防や筋力、心肺機能の老化予防に役立ちますよ。
その他にも、肉中心の脂っこい食事を控える、甘いものの食べ過ぎを控えるといった対策があります。
【参考・参照】
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)〈https://fooddb.mext.go.jp〉(最終閲覧日2022/6/1)