飲まない方も要注意!肝臓の働きと食生活のポイント
私たちのカラダの中で最も大きい臓器であり、働きものの肝臓。肝臓が元気でいるためには、生活習慣を整えることが大切です。「お酒を飲まないから大丈夫では?」という方もいるかもしれませんが、お酒を飲まない方でも注意が必要な場合も。今回は、知っておきたい肝臓の知識や食生活のポイントについて解説します。
肝臓の働き
肝臓の主な働きは3つです。
まず肝臓では、胃や腸で消化吸収された食べ物を体内で利用されやすい物質に変換(代謝)したり、栄養を貯蔵しておき必要なときに使えるようにしたりする「①栄養の貯蔵・代謝」が行われています。
またアルコールやアンモニアなどの有害物質を代謝して体外へ排出する「②有害物質の解毒・分解」や、脂質の消化に必要な「③胆汁の合成・分泌」などの働きがあり、カラダにとって欠かせない役割のある臓器です。
肝臓の働きが低下してしまうと、これらの働きが正常に行われなくなる可能性があります。
肝機能が低下する原因
肝臓に炎症が起きる「肝炎」の状態が続くと、肝臓の働きが低下する原因となります。肝炎の原因にはウイルスによるもののほか、アルコールや食べすぎなど生活習慣によるものなどがあります。
お酒を飲まない方でも、食べすぎや運動不足、肥満などによる脂肪肝により炎症を引き起こすことも知られています。「お酒を飲まないから大丈夫!」と油断は禁物です。
初期のうちは自覚症状がほとんどありませんが、肝炎が慢性的になってしまうと肝硬変や肝がんに進行してしまう場合があり、自覚症状がないからといって放置はいけません。
アルコールや食べすぎなどの生活習慣が原因の場合は、自分で原因を遠ざけることが可能ですので、定期的な健康診断で肝臓の働きをチェックしましょう。
肝臓を守る食生活
肝臓を守るためにまずできることは、適量飲酒を心がけることと、食生活を整えることです。
お酒は適量を楽しもう
お酒の適量は日本酒1合程度、ビールであれば中瓶1本(500mL)、チューハイ(7%)なら350mL缶1本程度が目安です。女性はこの量より少なく、1/2~2/3程度が適量ともされています。
また週に2回程度休肝日を作り、働きものの肝臓を休めてあげましょう。
食事はバランスよくとろう
カロリーオーバーや肥満は肝臓に負担をかけ、脂肪肝の原因になります。お酒を飲まなくても肝臓の働きが低下する原因となるため、バランスの良い食事を心がけましょう。
脂身の多い肉類や脂っこい揚げ物などの料理が多いと、脂質を摂り過ぎてしまいやすいもの。脂身の少ない肉類、また魚類や大豆製品を積極的にとり、野菜やきのこ、海藻類をたっぷり取り入れた食事が良いでしょう。
食事は「主食+主菜+副菜」が揃っているとバランスを整えやすくなるため、意識してみてくださいね。
⇒ポイントは野菜・果物・主菜!「食事バランスガイド」で健康的にダイエット
※すでに治療中の場合は医師の指示のもと、食事療法を行ってください。
365日、24時間働き続けてくれている肝臓は、飲みすぎ、食べ過ぎが続くとなかなか休めません。肝臓が長く元気でいられるために、できることから始めてみてくださいね。
【参考・参照】
厚生労働省 健康日本21(アルコール)<https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5f.html>(最終閲覧日:2022/3/26)
(最終閲覧日:2022/3/26)
一般社団法人日本肝臓学会 肝臓病の理解のために<https://www.jsh.or.jp/lib/files/citizens/booklet/understanding_liver_disease.pdf>(最終閲覧日:2022/3/26)
【執筆者】
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
管理栄養士
広田 千尋
- ダイエットの知識
- 持病の対策(あすけんBLUEサークル)
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