アレルギーやアトピーの改善に【EPA(IPA)】
EPA(エイコサペンタエン酸)は、青魚の油などに含まれる必須脂肪酸のひとつです。国際表示では、IPA(イコサペンタエン酸)と記されています。
近年、食事の欧米化などで魚を食べる量が減ってきていますが、この成分は体内では作ることができないため、意識して食べ物からとり入れる必要があります。
EPAの働き
EPAの働きには、主に以下のようなものがあります。
動脈硬化の予防
血小板が凝集する作用を抑える働きがあり、血栓を溶かし、血液をサラサラにします。
中性脂肪の減少
中性脂肪の代謝を促進し、中性脂肪を減らします。特にEPAは、DHAよりも中性脂肪を下げる効果があることが分かっています。
花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の緩和
炎症やアレルギーの原因となるプロスタグランジンやロイトコリエンといった物質を抑制する働きがあります。
なお、EPAは体内で一部がDHAに変換されます。DHAとEPAを一緒に摂ることで相乗効果が期待できます。
EPAの推奨摂取量
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、DHA・EPA・α-リノレン酸を含むn-3系脂肪酸の目安量は以下になります。(※1)
男性:18~49歳 2.0g/日、50~74歳 2.2g/日
女性:18~49歳 1.6g/日、50~64歳 1.9g/日、65~74歳 2.0g/日です。
過剰摂取が続いた場合
血液を凝固しにくくする作用があるため、出血したときに止血しにくくなります。
※血液を固まりにくくする薬(血液凝固阻止剤)を服用している方や出血が止まりにくい傾向のある方は、医師に相談のうえ摂取量を決めましょう。
不足が続いた場合
脂質異常症や動脈硬化、高血圧になりやすくなります。
⇒高血圧予防には血管を丈夫にする「サ・カ・ナ・ス・キ・ヤ・ネ」が合言葉!
EPAが多く含まれる食材・食事
EPAが多く含まれる食材は以下の通りです。(※2)
いわし(1人前1尾100g) | 780㎎ |
トロ(刺身5~6切れ70g) | 980㎎ |
ぶり(1人前1切れ80g) | 750㎎ |
さんま(1人前1尾150g) | 2,300㎎ |
さば(1人前半切れ50g) | 350㎎ |
アジ(1人前1尾150g) | 450㎎ |
すじこ(大さじ1杯15g) | 320㎎ |
うなぎ蒲焼(1人前半尾100g) | 750㎎ |
あんこうの肝(1切れ30g) | 900㎎ |
※特に記載のないものは、100gあたりの含有量を表示しています。
EPA摂取のポイント
EPAは熱に弱く、酸化しやすいのが特徴。できるだけ新鮮な刺身や寿司などを食べましょう。また、蒸し焼きやホイル焼きにして汁ごと食べることもおすすめです。
なお、油が体内で酸化すると過酸化脂質となり老化などの原因になるため、EPAを摂るときは、酸化を防ぐ作用のある食材をうまく組み合わせることをおすすめします。
抗酸化作用のある食材
■ビタミン
抗酸化ビタミンとして、ビタミンA(β-カロテン)・ビタミンC・ビタミンEがあります。
・ビタミンA(β-カロテン)⇒かぼちゃ・ほうれん草・小松菜などの緑黄色野菜
・ビタミンC ⇒キウイ・レモン・いちごなどのフルーツ・赤ピーマンなど
・ビタミンE ⇒植物油・ナッツ類・アボカド・抹茶など
■ミネラル
・亜鉛 ⇒牡蠣・豚レバーなど
・セレン ⇒ホタテなどの魚介類・大豆・玉ねぎなど
■ポリフェノール
・セサミン ⇒ごま
・アントシアニン ⇒赤ワイン
・リコピン ⇒トマト
おすすめレシピ
■さばのグリル 和風おろしソース
EPAが豊富に含まれているさばを使ったメニューです。抗酸化作用のある付け合わせの野菜も残さず食べましょう。
生活習慣病の予防のためにも、毎日続けて摂りたいものですが、米国食品医薬品局(FDA)では、サプリメントから摂る場合、DHAとEPAを合わせて1日2 gを超えないようにとされています。(※3) ”カラダによい”と言われるものでも、摂りすぎには気を付けましょう。
【参考・参照】
(※1)厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)〈https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html〉(最終閲覧日:2020/5/15)
(※2)文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)〈https://fooddb.mext.go.jp〉(最終閲覧日2022/4/26)
(※3)国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報〈https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail32.html〉(最終閲覧日:2020/5/22)